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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

41)共生しよう
【戦いやめて、仲良しこよし】

マーケティング講座

皆さん、こんにちは! 阪本啓一です。
競争より共生ですね!


一人勝ちの会社が考えていること

 大阪のFM局FM802(http://funky802.com/)に行ってきました。802は創業18年(2007年現在)の新しい会社であるにもかかわらず、関西圏のラジオでは圧倒的に強いプレゼンスを誇っています。FM全局の中で69.0%、たんぱやAM局も含めたラジオ全体でも50.0%の圧倒的なシェアを誇っています(ビデオリサーチ社実施の2006年6月度関西圏ラジオ聴取率調査速報に拠る)。共同調査開始以降、28回連続のNo.1で、2位の局が21.5%であることからしても、「一人勝ち」と言ってよいと思います。私の見るところ、次の3つが、顧客から圧倒的に支持されている理由と思います。紙幅の関係で詳しくは述べられませんが、項目だけ挙げます。

ブランドの約束が明確かつシンプル
創業以来一貫してブランドの約束を実行している
自社のビジネスドメインを「音」に限定することなく、
 アートや他業種企業とのコラボレーションを通じた活動をしている

 面談した802の知人に、「すごいですねー。絶好調ですね」と言いますと、面白い答えが返ってきました。知人が語る802の現在の課題とは、次の2つだといいます。

もはやシェアで局同士が競っている場合ではない。
ラジオリスナーそのものの数を増やさなければならない、
 つまり、パイの取り合いをするのではなく、他局とも力を合わせてパイそのものを大きくする必要がある。

 それを受けて私は、第3の課題として、「『パイの品質を高める』必要もありますね」、と添えました。知人は大いに頷いていました。
 そうです。一人勝ちの802は、ライバルとの競争ではなく、共生を視野に入れているのです。この考えは、以前私がこのコラムでも書いた、「戦略」「戦術」という戦争用語をビジネスで使うのはやめよう、という発想と同じです。競争して相手を叩くのは、ことビジネスに限って言うなら、実を結びません。競争などせず、「みんな仲良し」で、手をつなぐことが1番良いのです。だからと言って、「裏で談合しよう」ということではなく、じっくり向き合う相手はライバルではなく、顧客だという、当たり前の原則をあらためて実行しようよ、ということです。顧客の喜ぶことをみんなで知恵を出そう、1社で難しければ、手を組んで、助け合えば実現するかもしれない。


ラジオのハートウォーミングな強さ

 ラジオの強みは何といっても、人間の肉声の温もりです。つい最近まで放映されていたドラマ(『ブスの瞳に恋してる』)で、ラジオから語りかけるDJの優しいトークが、登場人物たちを癒していました。同じ内容のトークでも、聞く人それぞれが置かれているシチュエーションで、癒されるこころのツボが違う。ハートウォーミングなドラマをより一層際立たせてくれたのが、ラジオでした。このドラマの話を持ち出すと、802の担当者は、「実はあのドラマでDJをやっていたのは、802に出演してくださっている方なんです。ちょうど今オンエア中なので、スタジオにご案内します」と、当のご本人と面談することができる、というオマケがついちゃいました。このように、1つはラジオのもつ原初的な強みをより一層活かすような工夫が、「パイの品質を上げ、ひいてはリスナー数を増やす」ことになります。


アートや企業とのコラボ

 802は、新人アーティスト発掘をブランドの約束にしています。それをミュージシャンに限らず、イラストレーターにも広げ、2001年からアートブック『digmeout』を発刊、今年は第6集が日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアで出ています。りそな銀行とのコラボレーション「RESONART」で、ヤングアーティストがデザインしたRESONARTキャッシュカードは既に10作、通算25万枚のカード発行枚数を記録しています。ソニーとのコラボレーションでは、ウォークマン史上初のコラボモデルを開発、さらにニッサンとのコラボレーションも始まっています。詳しくはウェブサイト(www.digmeout.net)をチェックしてみてください。
 競争ではなく共生。企業活動が、この新しいルールで行われることが広がれば、私たち顧客にとっても、とっても楽しい世界が広がるに違いありません。

(2006年8月1日号掲載)

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