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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

40) 残る店とは?
【繁盛には理由がある】

マーケティング講座

皆さん、こんにちは! 阪本啓一です。
ハッピーな話を、どうぞ!


 友人のボサノバデュオ、DAKE&ZONO(DAKEちゃんがボーカル、ZONOがギターとボーカル。http://worldmusic.jp/)のライブでは、MCタイムでいつもこころがほっこり暖かくなるハッピーなお話を聞くことができます。つい先週聞いたZONOのハッピー話を皆さんにおすそわけ。


半年に1度の楽しみ

 十数年前、新婚当時住んでいた商店街に、おいしいトンカツ屋さんがありました。おいしいので、通いたいのだけど、何しろ当時お金がない。だから、半年に1度の楽しみだった由です。出されたトンカツ定食を新婚夫婦2人は大事にだいじに食べました。


大切に売らせていただきます

 もう1つその商店街で記憶に残っている店が、レコード店。間口の狭い、小さい店で、店主のおやじさんが1人で切り盛りしているのですが、独自のテイストで商品をセレクトしていて、ミュージシャンZONOとしては個性のない大型店より心地良い空間なのでした。

 このレコード店主の個性をうかがわせるエピソードがあります。ZONOの友人が某人気アーティストの新作アルバムが発売される折、人気でなかなか入手できないだろうと、みんなのためにこの店で5枚予約したのです。普通なら5枚まとめて売れた、と喜ぶものですが、店主は、「店に陳列するアルバムがなくなっちゃった。惜しい」とつぶやいていたそうです。大手と違い、初回に入荷できるレコードの数には上限があるのでしょう。そしてその上限が5枚だった。それがすべていっぺんに1人のお客さんに売れてしまった、ということが店主には残念で、少ない枚数しかないのなら、1人でも多くのお得意さんにアルバムジャケットを見てもらいたかった、という心境だったのですね。

 その頃、ZONOが当時いたバンドで初めてCDを出しました。店に置いて欲しい、とおやじさんにお願いに行きました。おやじさんは黙ってCDを始めから最後まで聴いたあと、「まじめに音楽に取り組んでいらっしゃるのですね。大切に売らせていただきます」と、持って行った5枚全部を引き取ってくれました。数日後店に行くと、5枚全部売り切っていたそうです。ZONOいわく「どうやって売ったんだろう?」(笑)。


久しぶりに行ってみた

 つい先日、ZONOが十数年ぶりにその商店街へ行ってみました。ミニ・センチメンタル・ジャーニーです。日本全国、商店街や個店は生き残っているところが少ないので、果たしてくだんのトンカツ屋は、レコード店は、残っているだろうか、と気になりながら。
 トンカツ屋、ありました。味も昔と同じく、とってもおいしかった。昔おいしく思った食べ物でも、舌のこえた10年以上あとで食べると、「あれ? こんな味だっけ?」となるのが普通ですが、やはりおいしかった。ということは、きっと味を向上させる工夫を重ねている証左です。日本ではいま、キムカツという、豚ロースを超薄切りにしたものを丹念に25枚以上重ねて作ったジューシーなカツが人気です。いわばロースのミルフィーユですね。そのキムカツスタイルの新メニューもしっかり導入されていました。女性向けに、小さいポーションのメニューも用意されています。

 さて、気になったのがレコード店。何と! 昔の倍の大きさの店舗になって繁盛していました。

 やはりトンカツ屋といい、レコード店といい、残る店には理由がありますね。

 整理します。第1に、店独自の強みは維持しつつ、時代の潮流に寄り添う工夫をしている(キムカツ)、第2に、単に製品を売るのではなく、その店にしかない価値を店主自身がチェックした上で発信する(CD)。商いの創意工夫に終わりはありません。

(2006年7月16日号掲載)

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