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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

56) 情報活用の方法
【情報は「量」より「質」!】

マーケティング講座

皆さん、こんにちは! 阪本啓一です。
情報と上手につきあっていますか?


このコラムができるまで

 今日のテーマは、「情報活用の方法」です。テーマと非常に関係が深いので、ご参考までに、本コラムの「製造過程」をオープンいたします。

 まず、書き始める前の構想段階で社内ブレーンストーミングし、最低3つのテーマを出します。私以外のメンバーから意見を出してもらう理由は、テーマを多様にしたいから。次に、テーマ選定ですが、基準は「そのテーマについて、私自身が生で触ったことのある事実(facts)を持っているか」です。

 私が文章を書く時、憲法のようにしている姿勢があって、それは、「自分の体験したこと以外は書かない」。現代は情報アクセスがとても便利になりました。ネット検索を使えば簡単に欲しい情報にアクセスできます。「だからこそ」、私は「見てきたようなウソを言い」とならぬよう、自分を戒めているのです。また、年間400冊は本を読んでいますし、毎日最低でも1時間はネットあるいはテレビでニュースをチェックしていますので、「自分が実際に体験したような気になっている」テーマがあるかもしれません。「いつ・どこで・だれと・なぜ・どのように体験したのか」手帳や記録を辿りながら慎重にチェックします。

 テーマ決定会議では他のメンバーに、私が前記条件(いつ・どこで…)について証明しなければならないルールになっています。ここまで絞り込みをしたら、たいていは1つくらいしか残りません。残らない場合は書くことがなくなり顔面蒼白ですが(笑)、幸いなことに、これまでそういうことはありませんでした。

 今回、候補に挙がったテーマは「EM(有用微生物群)」「社会的企業」「私の情報活用方法」の3つ。3つとも私自身が触った事実を持っていますが、身近なビジネスパースンが週刊誌の記事を鵜呑みにして発言していることがとても気になったので、「情報活用」をテーマに選ぶことにしたのです。


鉄則1:現地現物現実主義

 架空の話です。顧客サービスで有名なお店があったとします。その店の経営者の書いた本がベストセラーになり、書かれたエピソードのいくつかは、勉強熱心な人ならみんな知っているほど有名になります。さあ、まじめで勉強熱心な人が陥りやすいワナは、ここです。顧客サービスに関連したテーマの仕事(スピーチでも、取引先との会食での話題でも、あるいは新規ビジネス企画書の中でも)で、そのエピソードを援用して、自分の論を強化したくなるのが人情です。

 しかし、だからこそ、ここで注意が肝要なのです。実際にそのお店に行ってみたら、小額購買の顧客には非常に冷たい接客態度を取る販売員がいるかもしれません。あるいは、スタッフの間には冷たい空気が流れていて、「知らぬは社長ばかりなり」、現場は殺伐としていて、顧客にとっては社長の書いた本など笑止千万。そんな本に書かれているエピソードを援用したら、それだけでその人の情報品質が疑われます。やはり、使いたい場合は、自分が実際に現地に行き、体験してから。「現地現物現実主義」は情報活用の第1鉄則です。


鉄則2:複眼でとらえる

 情報は必ず複眼で、多面的にとらえるクセをつけましょう。誠に残念なことですが、週刊誌やテレビ、特に日本の多くのジャーナリズムは「売れればOK!」の基本姿勢で情報を扱っています。なかには独特の視点から深堀りをしてくれている良心的な編集部もありますが、耳目に飛び込んでくるのは常に「大きな声」であることに注意しましょう。1番警戒しなければならないのは「流行」「話題」「人気」のテーマです。そのようなテーマこそ、可能な限りさまざまな立場の人の意見に触れることが重要です。「複眼」が、第2鉄則。


鉄則3:何のための情報か

 情報は「量」ではなく「質」ですが、では、「質」はどうすれば高まるかというと、「何のための情報か」という、「目標」が明確に絞り込まれているかどうかです。私がコンサルティングでクライアントとプロジェクトの最初に決めることは、何といっても「目標(ゴール)」です。この場合、「世界一の**販売店になる!」といった目標は適していません。「世界一」の定義が曖昧で、結果測定が不可能だからです。

 目標が明確で、絞り込まれ、結果測定が可能な場合、情報品質は高まります。良質な情報を栄養にして、良質なビジネスを!

(2007年3月16日号掲載)