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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

58) ブランド・シート

マーケティング講座

皆さん、こんにちは! 阪本啓一です。
ビジネスに何より大切なことは
ブランド創りです。
今日はその秘訣を公開します。
ブランド・シートに記入してみてください。


「築地」ブランドの本質

 いかなるビジネスであっても、まず着手するべきは、ブランド創造です。例えば、東京の築地市場が2012年を目処に豊洲地区へ全面移転する計画があります。そうなると世界の「TSUKIJI」といえど、ブランドそのものを一から創造し直す必要に迫られます。なぜなら、築地市場は私の造語でいうところの「ランドマーク・ビジネス」であり、「,△詁団蠅両貊蝓瓮薀鵐疋沺璽に位置するからこそブランドとしての価値を持ち、▲屮薀鵐蛭信が可能となり、その価値によってビジネスが成立している」からです。わかりにくいですか? 「築地は銀座から歩いて行ける、現在の築地という場所にあるからこそ築地ブランドなのであって、他の場所に移転したら、築地はブランドとしての価値を再設計しなければならなくなる」ということです。

 同じような例は、例えば、有名な神社仏閣の近所で商いをしているお店や商店街に見られます。出雲神社参道の出発点であった旧JR大社駅は、1990年3月の廃止と共に、そこから大鳥居まで約1キロほどの商店街が、17年後の現在、ゴーストタウン化してしまっています。ランドマークに「乗っかっただけ」のブランドで、自らピンとしての経営力が貧しいと、このような悲劇に見舞われます。築地市場にある個々の店舗は、「築地」というランドマークをひっぺがされ、ゼロから出発する覚悟を求められています。ブランド創造に役立つのが、弊社が開発したブランド・シートです。


「価値」「とんがり」

 図をご覧ください。

1.価値:まず、何を置いても、「このビジネスで世界に何の価値を発信したいのか」を定めなければなりません。ここは経営者の世界観や哲学が明確に出るところです。

2.とんがらせる:価値をさらに独自の、「ならでは」のものへと磨き上げます。例えば、書店の場合「チェコ文学であれば世界中のチェコ文学書と評論書、研究書を置いてある!」。とんがってますね。一方、よほどの資金力がなければ「どこよりも多い品揃え!」「1番安い!」は「とんがり」になりえません。この2点(品揃えと最低価格保証)は、理論的には市場に1社しかないですから。そしてその1社になれる理由は資金力です(もちろん、それをかなえるだけの資金力があればOK)。この「とんがり」は、「だれにも簡単にわかる」ものでなければなりません。電話で伝言できるくらいのわかりやすさが必要です。2度以上聞く必要のあるものは練り直しです。


「プライシング」「パッケージ」「販売」

3.プライシング:業界には「適切なプライシングOKゾーン」があります。日本の清涼飲料水であれば120円から150円が「OKゾーン」です。まず、それを意識し、OKゾーンの高目低目、あるいはど真ん中ストライクを狙うか、決めます。大きく外して目立つ、というやりかたもあります。1980年代初頭、日本では袋入りインスタントラーメン市場への高価格製品の投入で、「高級インスタントラーメン」という新しいカテゴリーが生まれたことがあります。価格は顧客に向かって価値を宣言する1番わかりやすい指標なので、慎重に決定しましょう。

4.パッケージ:立地、店舗、店内什器デザイン、カラーコーディネートなどブランドの顧客印象を創造するすべての要素です。下町に出店するのであればそれなりに、高級店が軒を並べる土地であれば、それに沿ったパッケージが求められます。もちろん、プライシングと同様、「敢えて外す」のもありです。

5.販売:販売する人を通じてのブランド表現です。高級か、庶民か、中級ブランドか。直に顧客と接触する販売員のブランド価値教育はとても重要です。ホテルやレストランをはじめとするブランド志向の強い小売は、特にブランドの命といっても良いほど。


自社のブランド・シートを作成してみましょう!

 皆様のビジネスのブランド・シートを是非作成してみてください。

 どこか「ウッ」とつまるところがあれば、そこが貴ブランドの「弱み」です。すらすらと書けるところは「強み」なのです。1番肝心なのは、ブランド・シートは常に市場潮流にさらされていること。業界によって違うでしょうが、少なくとも半年に1回は、全体を見直し、点検されることをお勧めします。

(2007年4月16日号掲載)