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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

70)常識を疑え!

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
皆さんの強みは、日米両国の市場や生活習慣に通じておられることです。つまり、両国の「常識」を見渡せる素晴らしいポジション。ここからビジネスチャンスを発見しちゃいましょう。


スターバックスが珍しかった頃

 スターバックスに初めて足を踏み入れたのは多分97年、カリフォルニアのどこかの空港と記憶しています。写真を撮り、日本のクライアント企業にレポートしました。まだ珍しかったのです。2000年、NYマンハッタンに住み始めた頃、スターバックスがグリニッジ・ヴィレッジの狭隘な物件にまで進出、出店ラッシュの頃でしたが、それでも私には新鮮でした。当時大阪には1店あったきり。しかし今や地球上いたるところで同じ味のカフェラテを楽しむことができます。

 スターバックスの例からわかるように、企業のグローバリズムのおかげで日米市場にある差異は小さくなった一面、「各市場を形成する顧客の嗜好には開拓余地がたっぷりある」ことが発見できます。


洗濯代行サービス

 洗濯機で洗う日常衣類を代行して洗ってくれ、さらに、手でたたみ返却してくれる。米国ではごく当然のこんなサービスも、実は日本市場には05年まで存在しませんでした。草分けとなったのがウォッシュ&フォールド社(http://www.wash-fold.com/)、創業当初は月商100万円だったのが現在では500万円に。今後はフランチャイズ展開を計画しています。創業者がNYに2週間滞在していたとき、現地のコインランドリーでスペイン系の女性から代行サービスをもちかけられ、ビジネスチャンスを発見したというわけです。


そういえばあんなことも・こんなことも

 このように、「米国では当たり前」「日本では当たり前」の製品・サービスでも、実は他方にとっては全く新しいビジネスチャンスになり得るのです。思いつくまま挙げてみます。
・ウォシュレット:日本では最早常識ですが、米国ではまだまだ普及していません。マドンナが日本に来て何が楽しみか、と記者にインタビューされ、「ウォシュレット」と答えたそうですが、ホンネではないでしょうか。
・生理用品:NY在住時、日本に一時帰国するたび、家人が日本製の生理用品を大量に買い込んでいました。現在の状況はわかりませんが、米国製のものは、「まるでパンツ」とのことで、装用感、デザイン、使い心地など、日本製は手放せない品質の良さだったそうです。
・美容室でのシャンプー:日本では仰向けシャンプーが常識です。首の後ろに暖かい蒸しタオルを当ててもらい、専任のシャンプー係が丁寧にシャンプーしてくれます。現在の米国の美容室事情に疎いのでわからないのですが、少なくとも私がNYに住んでいた01年頃は、有名なサロンならともかく、普通の美容室のシャンプーはうつ伏せ洗いでした。日本の仰向けシャンプーに慣れた女性には強い抵抗があるようですが、「それしか知らない」米国人顧客にとっては「当たり前」であり、特に不満と思うこともないのでしょう。
・千円理髪QBハウス(http://www.qbhouse.co.jp/):「10分、千円ポッキリ」の新機軸で新市場を創出しました。ヘアカットのみ、シャンプーなし、掃除機のようなものでゴーーーッと、髪の毛を吸い取って、終わり。「ご丁寧すぎる」現況のヘアカットサービスを因数分解し、必要最低限のサービスのみによって顧客に低価格を提供する、というものです。米国市場にもチャンスがあると思いませんか?
・「微」「ひかえめ」市場:日本人は「微香」や「辛さひかえめ」「甘さひかえめ」「塩分ひかえめ」が大好きです。「カロリー」とかパッケージに書いてあるだけでつい棚に手が伸びます。ところが(皆さんは痛感しておられることと思います)、米国では「微」「ひかえめ」なものを発見するのは難しい。ケーキは思いっきり甘いし、香水は州を隔ててもそれとわかる(笑)ほど、強い。これも、「存在しないからそんなものだと思っている」だけで、みんながみんな、強い香水やベタベタした甘さを強く望んでいるわけではないはず。
 現に、食にうるさいNYチャイナタウンのスーパーにある子ども用菓子は、棚全部が日本のお菓子オンパレードでした。ベビースターラーメン、とんがりコーン、グミ、アンパンマンおせんべいなど。「繊細な味付け」をした子ども用菓子も、大きな市場可能性があるはずです。


コモンセンスを見直してみよう

 このように、顧客は「存在しないものには欲求を感じない」。当たり前です。ここにビジネスチャンスがあります。まずはコモンセンス、常識を見直してみる。「こんなの、LAでは当たり前じゃん」「日本ではフツーだったけど」という製品・サービス。一度みんなでブレーンストーミングしてみては? きっと大きなチャンスの宝が埋まっているはずです。

*参考:朝日新聞
07年9月18日付夕刊

(2007年10月16日号掲載)