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ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

75)にぎわいをつくるには

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
行列のできる店の秘訣は不思議な理由でした!


戸が笑う?

 北川八郎さんの言葉に「戸が笑う」があります。繁栄している家や、繁盛している店からは何ともいえないにぎわいや明るい空気がにじみ出ていて、戸(ドア)がニコニコ笑っているような感じがする、その様を表現しています。言い得て妙ですね。

 戸が笑っている店のある一方、何とも淋しく、戸が泣いている、あるいは戸が閉ざれている店もあります。「都心の隠れ家」といったキャッチフレーズで高級感を醸し出す高級レストランもありますが、「隠れ家」といいつつ、大々的に雑誌に取り上げられていたりして、隠れてないじゃん、とついツッコミを入れたくなりますが(笑)、そういうコンセプトでも、繁盛している店は玄関のドアが笑っています。


笑いの理由は

 「戸が笑う」現象は、リアルな店舗のみならず、ネットショップも同様です。訪問したウェブサイトが笑っているかどうかで顧客の購買心理が大きく影響されます。例えば楽天は出店社に、「人気(ひとけ)」と「人気(にんき)」を出すよう指導します。「便利」で「安心」なのはいまどき当たり前であり、「とんがり」にはならない。そのような混み合った市場でアタマ抜き出るためには楽しい企画・サービスを提案して、ウェブサイトでも「たくさん人が集まって何だか楽しそう!」という「お客様のひとけ」が必要であり、「ひとけ」があると相乗効果で「にんき」も生まれる、という理論です。

 このような「にぎわい」づくりは、どうすれば演出できるのか。私のマーケティング法則「見えないものを作り出すには、見えるものを使う」を活かしましょう。


行列のできるラーメン店

 コンサルテーションで、東京都内人気のラーメン店5店の調査をしたことがあります。いずれも「行列のできるラーメン店」であり、お昼時だけではなく、常時店の前には人・人・人。1番長い行列は25メートル、1番短い店でも5メートルありました。瞬間風速ではなく、常時それだけの人数が並ぶ、タダモノではない繁盛ぶりです。調査は、並んでいるお客さんに来店理由を聞くという極めてシンプルなもの。皆さん、ちょっと想像してみてください。ラーメン店に並ぶ理由を。味? 盛り? 接客サービス? 店の雰囲気? いずれも調査項目の中にありましたが、1番多かった回答は、何と、「行列があるから」でした!

 そうなのです。行列のできるラーメン店に行列ができるのは、行列があるから。禅問答みたいですが、5店全部に共通していました。即ち、「戸が笑う」ためには見えるもの=行列が効いていたのです。これを「行列の法則」と呼びます。


人気があるから人気が出る

 日本の芸能界に「ブログの女王」という肩書があります(笑)。何の指標で「女王」が決定されるのかわかりませんが、本原稿執筆段階では若槻千夏さんが女王の模様です。彼女のブログのアクセス数はハンパではなく、2007年11月27日付記事のコメント数は単日で1万511!

 この日は芸能界引退か、と騒がれた事情もあるのでしょうが、普段でも400〜500あります。といって、若槻さんが芸能界で大きなプレゼンスを持っている、何かヒット作がある、特別な「芸」を持っている、とかいうわけではありません。ブログの文章も、お世辞にもうまいとはいえませんし、読んでためになる、面白いブログは他にゴマンとあります。ここでも「行列の法則」が適用されます。つまり、「若槻千夏のブログには人がたくさん来ているようだよ」という「ひとけ」が感じられるから、「にんき=人がアクセス」するのです。

プラスの氣を出す

 ただ、だからといって、まずいラーメンでも売ればいい、ということではありません。ここからマーケティングの出番です。もちろん商品はしっかりおいしく作る。どこにも負けない味を目指す。接客も、店内の空気も良くする。当然です。その上で何より重要なポイントは、「人」。まず、店内のスタッフ自身がこころの底からの笑顔を。ニコニコ笑い、元気良く話し、挨拶もしっかりする。すると店内の空気が「ニコニコ」という「氣」(qi)で満ちます。つられて、戸が笑い出すのです。戸が笑っていると、お客さんが「楽しそうだな」と覗きに来る。やがて、そのようなお客さんが1人増え、2人増え、行列ができます。行列が行列を呼び始めたら、後はしめたものです。

 鍵となるポイントは、「プラスの氣を出す」。氣は見えませんが、笑顔は見えます。まずは、笑顔を!

*参考:北川八郎『繁栄の法則』致知出版、楽天大学編『ネットショップの教科書』インプレスR&D出版

(2008年1月1日号掲載)