働く
JOB

アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

100)特別企画)気づいた人はうまくいく!

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
10月、皆様とお目にかかれることが本当に楽しみです!


10月、お会いしましょう
 10月、2年ぶりにLAでセミナーを開催できることになりました。いつもご愛読いただいている皆様とじかにお目にかかれるプレシャスな機会、この原稿を書いているのはまだ8月初めですが、ワクワク楽しみで、こころ浮き立ち、じっとしていられないくらいです(笑)。日本の湿度の高い夏に閉口しているせいか、カリフォルニアの乾いた気候に1日でも、極端に言うと1秒でも早く飛んでいきたい! 今日は、特別に誌面をお借りして、10月のセミナーでどんなお話をするのか、『ライトハウス』読者だけの特典、先取りして披露しちゃいます。

テーマ『気づいた人はうまくいく!』
 『気づいた人はうまくいく!』は、この連載をまとめた本のタイトルです。主題は、「気づく力を鍛えて、生活をもっと楽しく、仕事では、ビジネスチャンスを発見し、もっと繁盛しちゃおう!」という思いです。気づく力はどうすれば身につくのか。本とは違った角度で、ヒントをさしあげましょう。


日本の夏はどこにあるか?
 問題です。「日本の夏はどこにあるでしょうか?」。え? 日本の夏は、日本にあるんじゃないの?(笑)。失礼しました。では、質問を変えます。「日本人は、夏を何によって感じているのでしょうか?」。何人かの日本人に同じ質問をしました。回答は「セミの声」「夏休み」「お盆の行事(お墓参りなど)」「暑さ」「海水浴」「プール」「子どもたちを特別に意識するなぁ」。
 いずれももっともな回答ですね。私は、こう考えています。ずばり、日本の夏は「店にある」。店頭の商品の中に夏があるのです。

ここに「夏」がある
 神奈川県は葉山で江戸時代から140年の老舗の店舗を構える「げんべい」(現在の当主で五代目です)。オリジナルのビーチサンダルで有名です。店で販売するだけではなく、さまざまな企業とのコラボレーションも活発にしています。店主の中島宏行さんに聞くところによると、今年だけでもコラボレーションの数は50件だとか。BEAMS、中日ドラゴンズ、千葉県(サンダルが県の形をしています。履けるのかな? 笑)、暴君ハバネロ(東ハトから出ているスナック菓子)…。いずれも傑作ですが、思わず笑ってしまったのはJR東日本のSuica対応ビーサン。足の裏を当てるサンダル面が、Suicaカードの四角い形と厚み分削られていて、カードがそっくり入る。改札前でビーサン脱いで、ビーサン片手にタッチ&ゴー。そういう人、いませんって(笑)。
 げんべいの店頭に行くと、写真のように、昆虫網、浮き輪、ゴムボート、ビーチボール、Tシャツ、うちわ、などが所狭しと並べられています。
 私はこの光景を見たとき、まさに夏がここにある、と思いました。現実の日本には、虫捕りに走り回る元気な子供たちの姿は見かけません(残念なことですが)。だから、虫捕り網はそんなには売れたりしないでしょう。浮き輪も、そんなに売れているようには見えません(あくまでこれは私の印象ですが)。では、売れないのに、なぜ店頭に置いてあるか。それは、主力商品であるビーサンをより魅力的に輝かせる舞台としての演出効果。日本人の頭脳の中にある「夏」を想起させるグッズたちを用意することで、潜在化している「夏のスイッチ」をONにする。ONにすることで気分が夏になり、ビーサン購入の「購買心理環境」が整うのです。


ブジャデ(Vuja De)
 だれもが目にしている光景、そこに新しい角度から光を当て、新鮮な発見をすることを、デジャブの反対語で、ブジャデといいます(造語)。
 げんべいの店頭で私が見た光景は誰もが目にしているものです。しかし、そこに、「夏のスイッチ」というコンセプトを持ちながら光を当てることで、新しいビジネスのヒントが生まれる。これがブジャデの力、気づく力なのです。人々の潜在意識の底に眠っている「夏」を呼び覚ますスイッチ。これはほかにも応用できます。「冬」のスイッチ、「ギフト」のスイッチ、「旅行」のスイッチ、「車買換え」のスイッチ…。
 あなたのビジネスで、「ツボとなるスイッチ」は何でしょう。そのスイッチを押すためのブジャデを鍛える。これがビジネスチャンスを確実にものにする秘訣です。

どっちがおいしそう?
 2枚のピザがあなたの前に並べてあります。1枚は、阿蘇山の地熱を利用して焼いたピザ、もう1枚は大手ピザチェーンの箱に入ったピザ。さて、どっちがおいしそうでしょう。もちろん、「阿蘇山の地熱を利用して焼いたピザ」に軍配が上がることと思います。
 熊本は人吉・球磨地域を中心として豊かな森に恵まれ、県土の60%が森林です。県内には多くの湧き水があります。このおかげで、県全体の生活用水の80%が地下水でまかなわれています。豊かな河川の1つ、白川源流の水で打った蕎麦。これだけで何だかおいしそうじゃないですか?(実際においしい!)
 ただ「熊本の物産を買ってください」というのではなく、他の県と違うサムシングを見つけ、そこをポイントにしてうまくアピールする。これも「気づく力」の1つなのです。米国や日本のような物質的に恵まれた国の人々に対しては、これからは大企業の商品よりむしろ、「阿蘇山の地熱」「白川源流」といった「マイナーだけれど、ほんもの」感を上手に訴えかける、物語にして語りかけることがビジネスを太く育てることになります。
 逆に言うと、従来うまく行っていた、いわゆる「勝利の方程式」は、急速に陳腐化し、購買心理に火をつけるには難しい装置になっていると言えます。例えば、ロードサイドの紳士服安売り店、スーパーマーケット、などのチェーン展開は、「大手チェーン」という言葉に対して生活者・顧客が魅力を感じていないことから、1日でも早く、新しい次の「儲かる仕組み」を発見しないと手遅れになる可能性があります。視点を変えれば、大手の台頭で苦戦を強いられてきた個店が、豊かな想像力で「新しい魅力」に気づくことができれば、一発逆転も大いに可能なのです。

ローカルを前面に出す
 写真は、私の自宅近所のスーパー駐車場に駐車して営業しているピザ屋さん「ハイジ・ピザ」です。車内に焼き窯があって、注文を受けてから焼いてくれます。1枚500円。焼きたてにかぶりつく時の幸せ感! もっちもちの食感で、ちょうどお正月に食べる、焼いたお餅を思い出します。しかも、いつでも食べられるわけではありません。そもそも、いつ店を出しているのかわからない(笑)。「葉山と逗子のどこかの駐車場で営業している」という、「予想不可能」な出店です。だから、「見つけた時、出会えた時が食べ時」。ブログを中心としたクチコミであっという間に評判になっています。経営者に確認したわけではないのですが、ハイジ・ピザの売りは、「いつかは全国区に」「大きな店舗にしたい!」という、「かつての起業家の夢」からは遠い位置です。あくまでローカルに徹する姿勢。これがハイジ・ピザの稀少価値を高め、出会えた時の喜びと共にお得意様が支持しつづける理由なのです。


 ローカルといえば、JOYWOWオフィスのある横浜・元町のレストラン。ランチタイムのメニューです。
 「元町カレー」と、地元名を表に出しています。ここの売りは、「焼カレー」。オーブンで焼いたアッツアツのカレー、その上にチーズと生卵を1つ、トッピングしています。これをフウフウ言って食べる。おいしいことは言うまでもありません。LAの皆さんには大変申し訳ないのですが、この焼カレー、食べたい方は、横浜の元町にお出でいただくよりほかないのです。ローカルの強みです。

常にカメラを携帯する
 近所のスターバックスに行くと、こんな呼びかけをしていました。
 「葉山クリーンアップ」と称し、ゴールデンウィーク連休明けの5月7日、11時にお店に集合して、1時間、近所の海岸を店スタッフと一緒に掃除しませんか、という呼びかけです。スターバックスは、コーヒー豆の買い付けや原産国の教育、医療への援助など、いわゆる「CSR(企業の社会的責任)と環境」活動でも有名ですが、このような「商売させていただいている地域への貢献」という行動の姿を具体的に見せ、アピールすることは、重要顧客である地域住民からの信頼を得るのにとても良い企画だと言えます。
 一方、こんな写真も、私が常にデジカメか携帯電話で写真を撮る癖を持っているから可能になったので、気づく力を養い、鍛えようという方は、いつもデジカメを携帯してみましょう。「カナヅチを持っている人にはすべてのものがクギに見える」…。ややもすると悪い例(発想に融通がきかない、など)として使われる表現ですが、私は結構なことだと考えています。常に考えているからこそ、何でもない日常の中からクギが見えてくるわけで、かつ、発見したことを記録に残す意味でも、写真を撮るように心がけましょう。

ヒント満載!
 …というようなお話を、事例を交えて、たっぷりしようと考えています。皆さんの生活が、より楽しくなり、ビジネスがより繁盛するためのヒントを満載します。是非、10月、お目にかかりましょう。講演の詳細は、本誌35ページをご覧ください。とても楽しみです!

*写真はいずれも私が携帯電話で撮りました。

(2008年9月1日号掲載)