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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

103)当たり前をやりぬく

マーケティング講座

こんにちは!
激しい時代だからこそ、当たり前をしっかりと。


緑色のごはん

 出張先の地方都市、仕事を終え、夕食の時間です。いつもなら楽しみなひと時なのですが、その日はデスクワークが大量に残っており、気がかりだったので、「とりあえず何でもいいや」と、ホテル近所のお店に入りました。仕事帰りの会社員がビールを傾けながら晩ごはんを食べる、お気軽な洋食屋です。ハンバーグ定食と生ビールを注文、本を読み始めました。
 料理はすぐにきました。「ごはんのお代わりは自由です」。おっ、いいねえ、気がきくね。食いしん坊の私は大喜びでごはんを見たとたん、「ん?」と思いました。うっすらと緑色なのです。照明の関係かな? と見上げますが、店内は普通の照明器具を使っていて、緑には見えそうにありません。げんに、いままで読んでいた本のページは緑には見えていません。「ま、いっか」と、食欲の求めるまま食べ始めました。
 ハンバーグは直径15センチくらいあるジャンボサイズ。でも、肉の味がまったくせず、たっぷりかかったデミグラスソースの味しかしません。「ま、いっか」。ジョッキをお代わりし、ビールで流し込んで、夕食を終えました。でも、何だか胸の奥のあたりが、落ち着かない気分です。すっきりさせるため、スターバックスで熱いコーヒーを買って、ホテルの部屋で流し込み、「浄化」しました。


汚染米が一般のレストランに

 翌朝、新聞を開いて、目を見張りました。農薬で汚染されていて、本来は食用として販売してはいけないのに一般流通にヤミで販売する、いわゆる「汚染米」事件がさらに広がりを見せていて、私のいる地方都市では、町のレストランにも販売されていたことがわかったのです。毒性の高いメタミドホスが残留し、人体に悪影響を及ぼす米が、こともあろうに、市中のレストランに流れていた! 昨夜のあの緑色のごはんはさては…! と思ったところで、もはや後の祭り。
 「子ども時代、高度成長期の工業地帯ど真ん中に住んで、化学物質の洗礼を山ほど浴びてきたから、ぼくの身体は免疫ができている」と自分に言い聞かせ、忘れることにしました。この原稿執筆は、その『事件』から4日経っていますので、大丈夫だったはずです(笑)。


学校給食にも!

 現在、日本は、汚染米のとどまるところを知らない広範囲な汚染が次つぎに明るみになって、ゆれています。
 「愛知県教育委員会は19日、新潟県長岡市のでんぷん製造業『島田化学工業』から仕入れた汚染米を使用したオムレツが県内の小中学校などの給食として提供されていた、と発表した。県内の計37市町村に上り、2003年度からの5年間で延べ45万食が提供されていたという。健康被害は確認されていない」(『毎日新聞』08年9月20日東京夕刊)。
 学校給食にまで汚染米が使われているとわかり、言語道断、食の安全は、まったくわからなくなってきています。


当たり前のことに価値が

 例えば、「きちんと生産者の顔の見える食べ物を選び、可能な限り農薬を使わずに育った野菜を食べよう」という風に「食への姿勢」を問い直そうというビジョンのもと実施されているのがスローフード運動です。しかし、今回の汚染米事件のおかげで、そういう思想があろうとなかろうと、自分や大切な家族の口に入って、健康や身体を築いてくれる食べ物へ従来以上に気を配ろう、ちゃんと吟味しよう、という意識を持ち始めた日本人が多いのではないでしょうか。
しかし、これは考えてみれば、ごく当たり前の姿勢です。
 また、食を提供する企業サイドとしては、トレーサビリティを整備し、仕入や販売先の「身元」をこれまで以上にしっかりと目を光らせようとしています。これもまた、「安全な食べ物を供給する」という、フードビジネスとしてはごく当たり前の姿勢にすぎません。しかし、この「当たり前の姿勢」こそが、いま、求められています。
 経営コンサルタントとして、これまでさまざまな案件に向き合ってきましたが、「突然、嵐(外部要因)がやってきて、会社が傾きました」ということはほとんどありません。そのビジネスで必要とされる、当たり前のことを、こつこつと当たり前に実行する姿勢。これこそが企業を繁栄に導くのです。具体的な行動指針を、紙に書いて壁に貼っておく、朝礼で全員唱和するなど、日常業務に落とし込みましょう。
 あなたのビジネスの当たり前は、何ですか?

(2008年10月16日号掲載)