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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

104)新しいビジネスモデル

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。ミッチェル・メイに会いました。


嵐の中で

その日は、米議会下院が最大7千億ドルの不良資産買い取り制度などを柱にした「緊急経済安定化法案」(金融救済法案)が可決する・しないで、世界の耳目がメディアに集中していました。また、「大手保険会社AIGがアリコを売却」という文字も新聞一面に踊っていました。ビジネス界に嵐が吹き荒れていたのです。私はこれらのニュースを朝刊で読みながら電車に乗り、対談のため待ち合わせの都内ホテルへと向かいました。 

お相手は、ミッチェル・メイ。本コラム「正直なビジネス」(2007年9月16日号掲載)で取り上げた、サスティナブル経営を実行している素晴らしい経営者です。ミッチェルの経営するシナジーカンパニー(本社ユタ州モアブ)は社員わずか50人足らずの小規模企業であるにもかかわらず、その哲学と独特の製品、環境への配慮によって、世界にインパクトを与えています。
www.synergy-co.jp/brand/index.html

私は、かねがね、人の気持ちと地球を消費し尽くす伝統的なビジネスを「1.0」、人の気持ちと地球をリスペクトするビジネスを「2.0」と呼んでいますが、ミッチェルの実行している経営は、まさにビジネス2.0と呼ぶにふさわしいものです。その秘密を直接お伺いすることにしました。


経営動機(モチベーション)

ミッチェルとは初対面ですが、写真で見たり、本を読んだりした印象と全く変わらない、優しくて柔らかな人でした。やり手のビジネスパーソンにありがちな、ギラギラした野望や欲を全く感じません。穏やかな握手のあと、ゆっくりとしたリズムで、対談は始まりました。

私は、あらゆるビジネスに重要なのは、動機(モチベーション)だと考えています。なぜそのビジネスをするのか。ビジネスによって、世界に何を提供したいのか。世界をどう変えたいのか。ミッチェルがシナジーカンパニーやその製品群(ピュアシナジー、マヌカハニー、プロポリスなど)を通じて、何がしたいのか。ミッチェルは、もともと著名なヒーラーです。ところが、ヒーリングで人を癒すだけではやはり限りがあります。そこでビジネスというモデルを通じて、世界をよりよくしたい、と思ったのです。これがミッチェルの動機です。

ビジネスを始めた当初(創業は1992年)、周囲のみんなが、「君のようなやりかたでは絶対うまくいかない」と反対したそうです。原材料に徹底的にこだわり、例えば、植物はにも妥協しません。可能な限り原種を探して採用し、自社でも栽培しています。製造段階でも、水と空気は基本的に何らかの汚染がなされているという前提のもと、徹底的にクリーンな環境で製造しています。市販の機械に満足しない場合は、自社で作るほどの徹底ぶり。また、材料の仕入れは、フェアトレードを実行し、サードワールド(第三世界)の農家へ適切な価格で前払い、生産にかかわる人と地域を保護します。そのための財政的な負担は相当あると思われますが、「必要なことは実行する」志と矜持が、その姿勢を支えます。
このような、新しいビジネス動機が結果を出し、ミッチェルの言うように、「新しいビジネスモデル」となっているのです


大手石油会社にアドバイス

ミッチェルから驚く話を聞きました。カナダの某大手石油会社の創業者CEOからアドバイスを求められたのです。石油会社といえば、私の言うところのビジネス1.0の代表格ですが、その経営者がミッチェルの訓えを乞い始めている!

もともとくだんのCEOはピュアシナジーの愛用者だった由ですが、ミッチェルの経営を調べれば調べるほど、その新しさに感銘を受けたのでしょう。ミッチェルにアドバイスを求める際、「謝礼をいくら支払えばよろしいでしょうか」と問われ、「無料です」と答えると、腰を抜かさんばかりに驚いていたとか(笑)。CEOは、ポケットマネーで1億円分のピュアシナジーを買い、社員に配布しました。新しい形の福利厚生ですね。同業他社のCEOにミッチェルを紹介してさらに輪は広がり、政府関係者にまで及んでいます。


pureであること

ミッチェルから学ぶべき点は、「これからのビジネス動機は、お金だけではなく、製品・サービスを通じて世界をより良くしたい、という、純粋なものでなければならない」ということです。結果として、経済的にも成功できます。ミッチェルが良いモデルです。最後に彼の言葉を皆さんと味わいたいと思います。「土台となる『本当の動機』が確固たるべきもので、はっきりとしていて、純粋なものでなければ、その上に建つ家もぐらついてきます」。