働く
JOB

アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

105)いよいよ本物の時代です!

マーケティング講座


良い時代の始まり

この原稿を書いているのは、トーランスでのセミナーを終え、日本に戻った翌日です。まだセミナーの興奮が冷めやりません。ホテルの会場を埋め尽くしてくださった230名の皆様には、本当に感謝、感謝です。熱いひと時を過ごすことができました。セミナーの中でも申し上げましたが、「良い時代がいよいよ始まる」と私は考えています。
「えっ?こんなに株価が下がって、新聞やテレビでも不況の報道がなされているし、町を走れば ForLeaseの文字が掲げられた物件が多く目に入るのに、どうして?」と思われるかもしれません。
しかし、私は本気で、これからこそ、良い時代に入っていくと思っています。




原油価格の安定

第1に、原油価格が落ち着き、おそらく今後下がるであろうこと。『USAToday』(10月15日付)によれば、10月以降のガソリン小売価格の下げ幅は米国史上過去最高です。33・3セント下がって、ガロン当たり3・15ドル。これは2005年9月12日、ハリケーン・カトリーナ対策として、米政府が保有石油を拠出した時の16・9セントダウンよりも大きい下げ幅です。なぜ石油価格が下がり始めたかというと、実体経済から遊離した金融資本主義、簡単にいうと、「カネがカネを生む」フィクションゲームが終焉を迎えたからです。

これまで経済は4つのステップを踏んで成長してきました。第1のステップは物々交換、「ぼくの持っているりんご3個と君の魚3匹を交換してくれないか?」。第2ステップは原始貨幣経済、「りんご3個をこのお金と交換してくれないか?」。第3ステップは、クレジットカードによる決済手段を開発した信用経済。そして第4ステップは、600兆円などと気の遠くなる金額が一瞬で消え去るフィクションの世界です。もう、ここまで来ると、手触りある実体とかけ離れてしまっています。原油価格が上がり続けたのは、第4ステップのフィクション・エコノミーにおける投機対象として実質価値から遊離したからであり、需要と供給のバランスで決まったわけではありません。

今回の金融資本主義の崩壊で、フィクションを支えていた仮想のお金が消えてしまったため、原油価格も、実体に沿わざるを得なくなったのです。よって、これからは安定し、おそらくまだ下がると私は見ています。原油価格が安定、もしくは下がると、諸物価も安定します。企業努力によって、さらに物価は下がるかもしれません。


ますます本物が評価される

第2に、生活者・顧客が従来以上に本物を求めていること。情報が氾濫する世界では、企業が顧客を騙すことができなくなります。アメリカや日本のように豊かな社会では、目の肥えた顧客は、「なんちゃって」(A級のふりをした実はB級)の商品を一発で見抜きます。逆に、きちんと手間暇かけて作り上げた製品・サービスはきちんと評価してくれます。もちろん、「多少安くても普段使いだからいいや」という日用品もあります。スーパーや99セントストアに行けば簡単に買えます。それはそれで顧客にとって選択肢が広がっているわけで、良いことです。また、中国産食品(ペットフード含)が農薬に汚染されていた事件からも、食の安全性に敏感になっていますので、この点からも、「まっとうな」商品が評価される環境は整っていると言えます。「ファーストフード・ハンバーガーのパテ1枚に500頭分の牛の肉が使われている(パテ500枚に1頭ではなく!)」といった情報が簡単に顧客の耳に入ってきます。すると、「さて、その肉は一体どこの部位だろうか」と一呼吸置いて考えざるを得ません。「それでも時間がないから、ランチは簡単に済ませよう」とハンバーガーを食べ、夕食は家族と一緒にきちんとしたスローフードを食べる、という生活様式を、顧客は選びます。


コツコツと

私たちは、コツコツと、地道な努力を重ねるビジネスが評価される環境にいます。トーランスでお世話になったトーランス・プラザホテルは、徹底的に日本人ゲストへ焦点を絞って成功しています。施設は古いものの、部屋の掃除は行き届き(日本人は掃除にうるさい)、シーツは清潔、客層にビジネスマンが多いのでアイロンを常備、レストランはおいしい焼き魚定食を朝食に出します。カリフォルニア米のおいしさを、私はこの店で知りました。朝食フロアの女性を始め、フロント、スタッフみんなが日本語を話せます。ここまで来るのに相当の努力をしているはず。地道な努力。これがまさに繁盛への近道の時代になりました。