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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

109)名門復活の理由

マーケティング講座

女性の視点を活かしていますか?


草津よいとこ・・・

週末を利用して、群馬県の草津温泉に行きました。初の草津、初の硫黄温泉体験です。草津は自然湧出量日本一の湯量を誇り、毎分3万2300リットル、これはドラム缶で161本の量に該当する由です。毎分ドラム缶161本というのはいかなる数字なのか想像もつきませんが、161人が五右衛門風呂に毎分同時に入ることができる? …わかりませんね(笑)。

都内から車で約3時間。湯畑と呼ばれる、源泉がこんこんと湧き出てくるランドマークがあって、そこを中心に温泉旅館が発展しています。養老5年(721年)に行基が発見したとされ、以来、高原にある保養地として数々の著名人に愛されてきた由緒正しい温泉です。明治時代にはエルヴィン・フォン・ベルツ医学博士が草津を何度も訪問し、草津温泉の健康への効用を広めました。

一日目、夕食前後に一回ずつ、翌朝に一回と、滞在中合計三回入浴しました。驚きの効用! ここ3年ほど悩んでいた湿疹がきれいに完治してしまったのです。ほか、冬のことゆえ、指先がカサカサして(私は自宅で皿洗いなど、水仕事担当です)ちょっと痛かったのですが、つるっつるになってしまいました。宿のもてなし、料理、町のたたずまいなど、他にもいいところは一杯あるものの、私はもう、この「驚きの効き目」だけで、いっぺんに草津温泉の大ファンになってしまいました。次はいつ行こうか、と同行の友人たちとスケジュール合わせを始めたくらいです。


女将たちの作戦会議

しかし、そんな草津温泉も、聞くところによると、バブル景気がはじけた後、客足が伸びずに苦戦した頃もあったそうです。たしかに、新幹線の最寄駅があるわけじゃなし、高速道路も遠い、お世辞にも交通の便が良いとは言えません。また、わざわざ温泉に行かなくても、日本には健康ランドという人工の温泉テーマパークが近所にたくさんあります。安いし、お手軽、便利。そんな中、危機感を感じた旅館の女将さんたちが集まり、「何とかしなければならない」と、草津ブラッシュアップ研究会を立ち上げたそうです。「新幹線がない、特急しかない」 → 「特急だからこそ到着するまでのワクワク感が盛り上がってくる!」。「道が狭い、ごちゃごちゃしている町並み」→「だからこそ、散歩すると楽しい発見がある!」。「きつい坂道」→「だからこそ、他にはない味わいがある!」。

このように、「気づく力」をフル稼働することで、同じモノを見ていても、新しい魅力を引き出すことができたのです。1年半かけて「女将さんのおすすめマップ」という地図を作成しました。客室に置いて、お客さんに自由に利用してもらおうという意図です。滞在中私も活用しましたが、確かな情報(ex.お勧めのお蕎麦屋さんは確かにとってもおいしかった!)で、役に立ちました。


女性を優遇する作戦

女将たちが考えた女性ならではのアイデアが、滞在していた宿にいっぱいありました。たとえば、お風呂。草津以外の多くの温泉宿では、通常、男性用と女性用は夜と朝でのれんを懸け変え、入れ替わります。そして、たいてい男性用のお風呂は広く、いくつかのタイプの温泉が用意されていますが、女性用は狭かったりします。ところが、草津は逆。お客さんが到着した直後の午後から宵の口(ゴールデンタイム)は女性にとても良いタイプのお風呂が用意されています。私の泊まった宿では5つのタイプのお風呂があった由。対して男性は2つ。
 
男は温泉に来ても、カラスの行水だったり、それよりも夕食やお酒のほうが気になる人が大半で、デリケートな違いなどはわからない人が多い。でも、女性は敏感にキャッチします。次のリピーターになってくれるのも、クチコミの発火点になるのも女性です。だから女性客を優遇するのは大正解なのです。


原点に帰る

草津温泉が次に目指しているのは「湯治リゾート」としてのブランド化と思われます。観光地に、病気を連想させる湯治はあまりいいものではないのでは…という配慮から、従来はあまり草津温泉のもつ湯治効果をプロモーションしてこなかったようですが、しかし、もともと原点は湯治です。また、高齢化社会を迎え、健康志向も高まっています。ただ病気の老人がゆったり湯につかってじわじわと治していく、というイメージから、もっと現代的でアクティブな湯治の新しいスタイルの提案。草津の事例から学べることは、女性の視点の活用が活路を開く、ということです。
 
皆さんの会社でも、是非!