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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

114)売れるコピー・ライティング術

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。
正しく伝わっていますか?


私のマーケティングの定義は、「伝えたい価値が伝えたい対象にきちんと伝わるようにすること」です。その意味で、チラシや店頭POP、あるいは案内のキャッチコピーも、マーケティング活動の一環です。同じ内容でも、伝わり度合いがコピー一つで全く違ってきます。


同じ内容でも

あるセミナーを企画しました。対象は従来のJOYWOWセミナー来場者よりずっと年齢層が若い、10代から20代前半の人たちです。通常、JOYWOWセミナーのコアな顧客は30代がメイン。つまり今回は、「土地勘のないターゲット」に向けて集客活動をしなければならないわけです。テーマは「プロフェッショナルとしての働き方」だったので、コピーを、「プロかっこいい!」としました。日本で、「エロかわいい」という言葉が流行しているので、そんなノリで、関係者一同、気に入ったコピーでした。ところがいざ集客を始めてみると、閑散とした有様。全く響かない。ウェブサイトやメールマガジンという、ネットによる集客方法では、特にキャッチコピーで一瞬にしてこころをつかむ必要があります。まして商品はセミナーという、「手で触れることができないし見えないもの」であり、クッキーやおせんべいと違い、顧客は味見をしてから買うかどうかを決める、というわけには参りません。あふれんばかりのネット情報の中から、たった数文字のコピーで判断します。
 
わずかしか集まらない惨状を前に、急遽ミーティングし、コピーを変更しました。変更後は「8人のプロが1日限定で集結! ビジネス2.0時代のJOYWOWという働き方」にしました。「8人のプロのコンサルタントと一度に会える!」「ビジネス2.0時代の楽しい働き方」という2つの訴求ポイントをくっきりさせたのです。コピーを変更した結果、当初の4倍を超える集客を果たしました。内容は同じなのに、コピーで変わったのです。


コピーは本質を表現する

新作小説『HOPE! おばちゃんとぼく』の店頭POPに書いたコピー。「120ページと128ページは書いた本人でも何度読んでも泣いてしまいます」「電車が舞台の小説ですが、電車の中では絶対読まないでください」「新しいスタイルのパワーブックです!」いずれも、「本の特長=本質=泣ける、感動し、元気がもらえる」を別の表現で表したものです。おかげさまで良く売れているようです。

スポーツクラブなどでよくあるコピーは、サービスメニューと料金を掲示し、それにイメージを喚起させるような文章(春なら、『はじまりの季節に』といった)をくっつける、という方法です。即効性ある集客のためのコピーの原則は製品・サービスではなく、「その商品を利用することによって解消される顧客の不=不安・不満・不便をはっきり伝える」ことです。

ビジネスチャンスの発見方法は顧客の不(不安・不満・不便)を解消するための商品を開発することですが、コピーも同じ。商品が先にあると(競合他社が存在し、その商品が広く普及している場合なら余計に)、他社商品との比較の色眼鏡で顧客は見てしまいます。すると、どうしてもバイアスがかかり、顧客は「あっちなら**があるのに、こっちはない。こっちは**があるが、あっちはどうだったかな?」などと上の空になり、こちらが伝えたいメッセージが正確に届きません。本質をズバリ、言うことです。スポーツクラブなら、「座りっぱなしの仕事で腰が痛いあなたに」とか「定期的に通えないあなたのための」とか。


コツは一行で

「くしゃみ三回、ルル三錠」(三共、現・第一三共)
「なんで、私が東大に!?」(四谷学院)

など、秀逸なコピーは一行でもその商品の本質を言い表すインパクトを持っています。ルルは一回耳で聞いただけで風邪薬だとわかります。四谷学院は「普通の学生が東大に行けるようなすごい教育メソッドを持っていますよ」という訴求ポイントがすぐにわかりますよね?

コピーを書くのに、特別な才能は要りません。普段からあれこれと書いてみることです。そのためには、自分が売っている商品の訴求ポイントを本質でつかむ訓練が欠かせません。訓練のためのヒントを。本や映画のタイトルを勉強してみましょう。コツは一行です。


阪本さんの新作書き下ろし小説
『HOPE!おばちゃんとぼく』
●メディアファクトリーより好評発売中!



(2009年3月16日号掲載)