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アメリカでのビジネス・仕事

現地情報誌「ライトハウス」が人気コラム「アメリカ人と共に働く技術」をはじめ、起業・独立、マーケティングに関する情報など、アメリカでのビジネスに役立つ情報をご紹介。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

115)弱みは強み

マーケティング講座

こんにちは! 阪本啓一です。きっとうまくいきます!


あなたのビジネスの弱みは何ですか?

営業が弱い? 出店している立地が悪い? プロモーションが弱い? 投資家が箸の上げ下ろしにまでクチバシを突っ込む? 売上に波がある? 

多くの人間と同じく、弱みがなくて強みばかりのビジネスはありません。みんな、どこかしら「これさえなければいいのだが」というウィーク・ポイントを持っているものです。ご安心を。これまた人間と同じく、それらの「弱み」は、実は「強み」でもあります。正確に言うと、「強みへと転換可能」なのです。


距離の法則

先週、今週と、2週続けて通販ビジネスをやっている経営者向けのセミナーで講師を務めました。開催地は東京都内と大阪です。そこで気づいたのですが、「消費地との距離の長さは、打てる通販マーケティング施策の数と反比例する」という「距離の法則」があるようです。もっとわかりやすく言うと、消費地から遠ければ遠いほど、通販マーケティングはやりやすい。顧客にとっては「遠いほどありがたい、価値がある」というわけです。

ということは、東京都内で通販ビジネスはとっても難しい。大消費地のど真ん中でやっているわけですから。


みなべ町ってどこ?

通販の経営者たちと話していると、みなさん、意外にも、自社の強みを弱みと理解されていることが多いようで、びっくりしました。また、自分(経営者)では気づいていないけれど、必ず強みがある、ということも発見しました。

例えば和歌山県の梅農家。和歌山といっても、農家のある場所は日高郡みなべ町といって、新大阪からは特急に乗っても2時間かかる。それが最寄の駅ですから、実際には3時間。東京からだと新幹線で新神戸くらいまで行っちゃう距離です。この遠距離を売りにする、という発想が全くなく、商品の梅を無農薬で生産することに関心が集中してしまっていました。

完全無農薬で梅を生産することは日本初、だからこそ困難を極め、その意義はとても大きい。艱難辛苦の結果、完全無農薬でりんごの生産に成功した木村秋則さんの直接指導を受けています。すごいことです。ただ、「完全無農薬ですよ」というだけではなく、売りのバリエーションは多いほど良いわけです。梅というものに一般の人はあまり思い入れがないし、知識も少ない。また、「みなべ町」がどんなところなのかについても全く知らない。実は農薬の代わりに、海から直接海水を汲み取って、スプレーで梅の木に散布しているといいます。そんな、畑の近所に海があるなんて、言われないとわかりませんでした。ほら、アピールする売りは、ごろごろ出てくるのです(笑)。

当事者にとっては「当たり前」でも、顧客には全くなじみが薄い。大阪からでも3時間かかる(往復6時間!)という、みんなにあまり知られていない一見弱みに見えるポイントが、上手に使えば強力な売りへと変身する事例です。


近いとどうするか?

では、都心でネット通販をしている店はどうすればいいのでしょう? 都内で電気店を営む会社の事例を。ここは電球1個でも、通販システムを使って日本全国に配送します。しかし、「距離の法則」とじっくり向き合った結果、「遠いところを相手にするよりも、地元を深堀りしよう」という結論になりました。自店のある区を中心に、隣接する区1つと、この2区だけを相手に、地域に根差した商売を深めていこう、という結論になったのです。一見、都心に店を構えていることは強みに見えますが、彼はそれを「通販にとっては弱み」だと認識し、経営方針を切り替え、新たな市場開拓に乗り出したわけです。 

彼が集中しようとしている区は都内でも高齢化の進む2区。電球1個でも取り替えます、と気持ちよく応対していったら、きっと、ご家庭の雑用一般を引き受ける「こころの通い合い」を持つことができるでしょう。物騒な事件が続く昨今、気持ちよくドアを開けていただける強みを手にすることができます。そうなると、デジタル放送化を2011年に控え、関連や周辺の商いも注文をいただけるチャンスが増えます。

皆さんの弱みも、きっと強みに転換できます。早速、みんなで考えてみましょう!




(2009年4月1日号掲載)