ホアキン・フェニックス / Joaquin Phoenix

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(2020年3月16日号掲載)

『Joker』でアカデミー主演男優賞を初受賞!

ホアキン・フェニックスと成田陽子さん

アカデミー賞で主演男優賞を受賞した際のスピーチで、「母親牛は出産直後に赤ちゃんを取られてかわいそう」と語ると、酪農業関係者が「すぐに仔牛を拾わないとバイキンまみれになる」と反発。すると、すぐに農場を訪れて仔牛を抱き締める写真を公開。ホアキン・フェニックスの行動は、特異なハリウッドスターならではである。昨年9月、『Joker』の役作りについて、こんなことをのらりくらりと喋ってくれた。
 
「引き受けるかどうか、かなり思案した。最近はよほど特別な結び付きを感じないと仕事をしたくないから。でも、監督と会ってアイデアを交換するうちに彼がすごく好きになって。僕の発作的行動や、しつこい質問、『リハーサルは嫌だ』などの勝手な注文をのんでくれたばかりか、僕を深く理解してくれていると言うじゃないか! 撮影が始まる5週間前から1日リンゴ1個のダイエットを始めたが、これで体の動きが鋭くなり、狂的なハングリーさが出てきてね。

ホアキン・フェニックス

『Joker』で、バットマンの宿敵、ジョーカーがいかにして生まれたかを鬼気迫る演技で見せたホアキン。

あの笑い方の練習には心血を注いだ。コントロールの利かない笑いこそ、ジョーカーの見せ場だから。しかしやり過ぎないよう、バランスにも気を配った。ジョーカーの独特な動きはトレーナーと練習したものの、あの階段でのパフォーマンスは、全くリハーサルをせずにやってしまった。恐ろしく幅が狭い階段でステップが危ぶまれたくらいだが、カメラを2脚設置して、1つは1秒24フレームで動作がバラバラでリズムに乗ってない映像を、もう1つはスローモーションの映像を撮影したんだ。(それらを合わせると)彼の動きがスムーズでエレガントに見えるじゃないか! 全て監督のアイデアだった。
 
普段は監督以外の人とコラボしないのだが、今回は振付師と練習をして、セリフとダンスの融合について教えてもらった。僕が演じるアーサーの頭の中にはいつも音楽が流れていて、それが体につながっているのだとね。毎日が挑戦だったけど、そういうコンバットのような現場が大好きなんだ。
 
撮影中は家族や友人には会わなかった。人と会うと必ず食べ物が出てくるから(笑)。役に取り憑かれたりはしなかったよ。8歳から子役としてやっているから、現場を離れたら自分に戻れるんだ」。
 
現在、なんと『Joker 2』の企画が進行中だそう。楽しみである。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2020年3月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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