ダコタ・ジョンソン / Dakota Johnson

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(2021年12月16日号掲載)

「七光り」の声も何のそのな、演技派女優

ダコタ・ジョンソンと成田陽子さん

新作『The Lost Daughter』(2021)で、イタリアの浜辺にいるダコタ・ジョンソンの姿を見た時は、まるでモニカ・ベルッチかと見違えるほど、成熟したヨーロッパ女性の佇まいを漂わせていた。そして主役のオスカー女優、オリビア・コールマンを相手に堂々の体当たり演技を見せ、美しい外見だけでなく、「親子3代の七光リ」などという偏見を跳ねのける仰天の役作りである。
 
ドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの娘であり、ティッピ・ヘドレンの孫、さらにアントニオ・バンデラスが義父という芸能一家で育ったダコタ。『Fifty Shades of Grey』(2015)ではあっけらかんと全裸シーンを演じ、4年前からColdplayのクリス・マーティンと交際中というハリウッドの申し子ゆえ、「井の中の蛙」「怖いものなし」という印象も受けるが、当人に会うとびっくりするほど繊細で純粋な感性の持ち主である。『The Lost Daughter』のインタビューでは次のように語ってくれた。

ダコタ・ジョンソンと家族

父親のドン・ジョンソン、母親のメラニー・グリフィスとの1枚。ドンは『Miami Vice』での刑事役が印象に残っている人も多いのでは。

「コロナ禍で今まで経験したことのない心が歪むような状態に落ち込んでしまった。毎晩メラトニンを服用し、瞑想とヨガに励み、ベストを尽くすよう心がけてきた。『The Lost Daughter』は、監督のマギー・ギレンホールから送らてきた脚本を読んで、すぐにやりたい!って返事を出したのよ。出演する時は、まず脚本、それから共に働く人々に魅惑されることが私なりの条件だから。
 
女優になりたいと小さい時から志していた。毎日同じ映画を1日2回見たりして、今でも『Mary Poppins』の場面を一つずつ説明できるほど。10歳の時に両親に女優になるって宣言したのだけれど、ちゃんと教育を受けてからと命令されて辛抱強く学校に通ったのよ(オールAだったそう)。同時に両親たちとの旅行やイベント、撮影所見学を通してハリウッドのまばゆいばかりの豪華さと、暗くて汚らしくて醜い状況を目の当たりにしてきたのが、今の私の土壌になっていると思う。だからこそ、この業界で人を信じること、信じてもらうこと、共同で仕事をするためのチーム精神を大事にしているの」。
 
次は、ジェーン・オースティン原作の時代劇『Persuasion』に主演。共演はアジア系スターのヘンリー・ゴールディングであります。期待できそうだ。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2021年12月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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