ヒュー・グラント / Hugh Grant

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『Paddington 2』で三枚目役を怪演!

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英国オックスフォード大優秀卒業独身貴公子、常に一流のウィットで世界中の女性を魅了してきたヒュー・グラントも今年の9月9日には58歳、5人の子持ち!になってしまった。もっとも子どもたちの母親は一人ではなく、「ご安心ください、誰とも結婚していません」という、ヒューらしい生き方を見せている。
 
『Paddington 2』では愛らしい主人公のクマに濡れ衣を着せるなど、性悪な峠を過ぎた俳優というハマり役を熱演。今年1月の会見に現れたヒューは、着古したスーツに何度も洗ったようなシャツという、通常は最新のブランド物を着せられて出てくるハリウッドのスターではあり得ない、独特のオシャレ感を演出。服の質の良さと体に馴染んだ感が何とも憎かった。
 
「棒を相手に演技するのは難しかった。撮影がクランクアップした際に、棒を拷問で殺してやろうと企んだほどだ」。と、ぬいぐるみのクマはCGIのため、クマに見立てた「棒」を責め立てた。また、「昔は母が僕に『Paddington』を読んでくれたものだったが、今はガールフレンドが子どもたちに読んであげている。懐かしいよね。僕は英国人だから、感情をもろに見せるのは恥ずかしいことだとしつけられて育ったが、それでも映画を見たら、パディントンがあまりに可哀想で涙が出てきてしまった。泣いているところを見られたかと、かなり動揺してしまったね。

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ロマンティック・コメディーの貴公子と呼ばれるヒュー・グラントが、『Paddington 2』では三枚目の悪役を怪演。

誰もが僕の〝Over the Hill〞にして、ナルシスティックな俳優の役を最高のはまり役じゃないか!とうれしそうに肩を叩きながら言ってくるが、僕自身は究極の性格俳優だと思っているから、腑に落ちないのだよ」と勝手なことをほざいていても、あの貴族的にして自虐的な表情とアクセントで話すために妙に可笑しくて、当人はその効果を十分に心得ている節もあって、さらに憎いのであった。
 
そして、「僕はスノビッシュだから気取った雰囲気が好きでね。昔風の豪華な劇場で映画を見たり、プレミアでは古き良き時代のように全員タキシードにゴージャスなドレスで観客に『夢』を与えたりする雰囲気が大好きなんだ。何事もドレスダウンしてカジュアルに構える映画界の現状には幻滅している」と、どう見てもスノビッシュではない真の知的才人のヒューのへそ曲がり発言なのである。

 

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

 

(2018年3月16日号掲載)
 
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2018年3月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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