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アメリカでの育児・子育て

ライトハウスに連載中の人気教育コラム、ハワイ在住の専門家がバイリンガル教育のノウハウを提案する「船津徹のアメリカで実践 バイリンガル子育ての秘訣」のほか、英語学習や学校教育、受験などについての疑問に答える「教育カウンセリング」をご紹介。アメリカでの育児・子育て・教育・子供の学校選び・進学に役立つ情報を提供しています。

船津 徹
船津 徹

バイリンガル教育カウンセラー。福岡県生まれ。

「マグネット校」「ギフテッドクラス」とはどのようなものですか?

「マグネット校」とか「ギフテッドクラス」という言葉を耳にしますが、どういうものなのでしょうか? 誰もが希望すれば入れるものでしょうか? 学校区によって、あるところとないところがありますか?

松本輝彦(INFOE代表)

才能を広げ、学びのチャンスを広げる
公立学校の英才教育システム

小中学校に多い
GATEプログラムとクラス


 「マグネット校」「ギフテッドクラス」は、公立学校で行われている英才教育の一部です。カリフォルニア州の公立学校には、「GATE(Gifted and Talented Education)プログラム」があります。これは、「同じ学年の他の子供に比べて、ずば抜けて高い成果を挙げられる才能や能力を持った子供を対象に、よりレベルの高いカリキュラムや指導を提供する教育」と定められています。

 ここで言う「才能・能力」は知的能力だけではなく、学習能力、リーダーシップ、美術、パフォーミングアート(音楽・ダンスなど)などでの能力が含まれます。GATEのクラスを受けるには、その子供が特定の分野に才能があると、事前に学校区に認定される必要があります。

 認定のプロセスは通常、子供のずば抜けた才能や成績に気づいた先生の推薦で始まります。先生から推薦を受けた学校区は、児童心理の専門家に依頼し、様々なテストや面接をしてもらいます。才能があると認められれば、GATEの児童・生徒として認められます。先生だけではなく、保護者や児童自身が申し出ることも可能です。小学校低学年が圧倒的に多く、小学校高学年でわずかに見られますが、中学以上ではないようです。1度認定されると、義務教育が終わるまで有効です。現在、州で約50万人の児童・生徒がGATEに認定されています。

 小・中学校では、GATEの子供だけが参加できるクラスが開かれます。1つの学校の中にGATEクラスを作る場合や、いくつかの学校から子供たちを決められた曜日・時間にバスで1つの学校へ集めてクラスを開いたりします。夏休みに特別クラスが組まれることもあります。通常の授業よりレベルの高い内容を学びますが、現在の学年よりも上の学年の内容というのではなく、コンピュータ、美術、エッセイなど、幅広い様々な分野の学習をします。

 高校段階では、「Advanced Placement (AP)」「Honors」「International Baccalaureate (IB)」などの、通常クラスよりもレベルの高いクラスやプログラムがGATEプログラムとみなされます。受講の条件を満たせば誰でも受講できますが、GATEに認定された生徒は優先的に受講できます。

 GATEの教育には州政府から財政援助がありますが、各学校区の財政状態により内容は大きく変わります。GATEに認定された児童・生徒の数、学校区の規模によっても、大きな差が出ます。

特定分野の学習に重点
マグネットスクール


 生徒数が多く、GATEの生徒も多い大きな学校区では、理数・医学・アートなどの特定の分野の学習に重点を置いた学校「マグネットスクール」を設けています。例えば、美術のマグネットスクールに通い、午前中は普通の学校で学習する内容を勉強し、午後の時間すべてを絵や彫刻に費やします。

 南カリフォルニアではロサンゼルス学校区がこのタイプの学校を作っていますが、カウンティーも独自に設立しています。最近は、理数の教育に特化したチャータースクールなども生まれています。このような学校に入るには、学校区の様々なルールを満たし、学校独自の選考にパスすることが必要です。入学希望者が多く、入学の1、2年前から準備が必要なようです。

 これらの英才教育は、エリート養成が目的ではありません。「才能や能力の高低にかかわらず、児童・生徒1人1人が自分の能力をより高いレベルに伸ばす」という教育の平等の考えを基礎としています。

 「横並びの平等」の日本での教育を受けた保護者の方々には馴染めないシステムですが、お子さんの学びのチャンスが広がる可能性もあります。校長先生に、「GATEのテストをしてください」と申し出てみてはいかがですか?