移民局へのビザ申請費用の値上げについて教えてください

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Q. アメリカ市民権の申請を考えています。来月からビザ申請料金が値上がりすると聞いたのですが、どれくらい上がるのでしょうか?

A.移民局は、コロナパンデミックに伴い、政府から十分な予算が下りず、この状態が続くと経営困難になることを理由に、2020年10月2日からの申請料金改正の発表を行いました。

一部の申請を除く 多くの手続きで値上げに

ほとんどの種類の申請書の申請料金は値上げされますが、全てというわけではなく、申請書の種類によっては値下げされるものも見られます。例えば、グリーンカードの更新・再発行は、455ドルから415ドルに値下げされます。また、今回からオンラインでの申請の場合は、405ドルとわずかですが安価になります。主に雇用を通してグリーンカードの申請を行う場合の会社の審査の申請(「I-140」)も、700ドルから555ドルに値下げされます。

ただ、それ以外の多くの申請は値上げされ、「H-1B」ビザの申請では460ドルから555ドル、「O-1」ビザの申請では460ドルから705ドル、「L-1」の申請では460ドルから805ドルになります。グリーンカードの申請における個人の審査(「I-485」)は、1225ドルから1130ドルにわずかに値下げされますが、今まで申請費用を必要とししてなかった(「I-485」の申請料金に含まれていた)就労許可の申請(「I-765」)に550ドル、一時渡航許可の申請(「I-131」)に590ドルを支払わなければならなくなります。「I-485」を申請する際、ほとんどの場合が就労許可(「I-765」)と一時渡航許可(「I-131」)も同時に申請するため、実際の申請費用自体は1225ドルから2335ドルと、2倍近くの値上げになります。この「I-485」は、雇用を通す場合、家族を通す場合、抽選プログラムなども含め、アメリカ国内においてグリーンカード申請する全ての場合に用いられる書式です。

費用だけに左右されず十分な準備をすることが大切

あなたの場合、市民権の申請(「N-400」)は、725ドルから1170ドルと大幅に値上げされます。あなたの市民権申請のように比較的シンプルなケースの場合は、値段が上がる前に申請するのが賢明と言えます。
ただし、申請の種類・目的・内容によっては十分な準備を行った上で慎重に行った方が良い場合もあります。準備が不十分な場合は、移民局から申請書を差し戻され、その間に時間が経過し、結局値上げされた料金を支払わなければならなくなったり、十分な証拠書類を提出していなかったために、追加資料の請(「Request for Additional Evidence」)がされたり、場合によっては、「Intent to Deny」を受けてしまう場合もありえます。この「Intent to Deny」とは、通知が発行されてから30日(パンデミックの間は追加で60日間の猶予)以内に移民局に資料等を提出しなければ却下されるというものです。最初に十分な資料を準備して申請していれば、「Request for Additonal Evidence」や「Intent to Deny」を避けられたかもしれないところを、十分な資料を準備しないまま申請を行ったために、これらの通知を受けてしまい、それが申請自体の却下につながってしまえば本末転倒です。例えば、あなたのように市民権申請の場合であっても、稀な例ではありますが、過去3カ月以内に州をまたいで引っ越しを行ったような場合は、引っ越し後3カ月間待たないと申請することができません。慌てて申請を行ったがために、このような事実確認を怠ってしまうと、却下につながってしまう可能性があります。この場合は、却下されるのが約1年後になることも十分に考えられ、この場合はそこからまた再申請を行わなければなりません。
移民局への申請は多くの場合、就労・滞在ができるかどうかを左右する非常に大事な申請を行うわけなので、単に料金が上がるからという理由だけで慌てて申請するのが必ずしも正解とは言えません。場合によっては、必要な時間をかけて条件などの確認を行い、充分な準備を行って、確実に認可を得ることを狙うのも重要です。

また、資料が十分にそろっているか否かの判断だけではなく、料金の変わり目に申請書類を郵送するのもリスクになる可能性があります。10月2日にかかる際どい時期に申請を行うと、申請料金が違っていることを理由に移民局が差し戻す可能性があります。さらに、料金の変わり目では多くの申請書が提出される傾向があるため、移民局が差し戻すのにも多くの日数を費やす可能性も高いです。いったん差し戻されると再申請を行う必要がありますが、その間にステータスが切れてしまっていることも考えられます。従って、10月2日までに十分な準備をするのが難しい場合は、あえて10月2日以降に、十分な資料をそろえてから申請するのも賢明であると言えます。

※このページは「2020年9月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
21221 S. Western Ave. #215, Torrance, CA 90501
TEL 310-618-1818 / FAX 310-618-8788
1300 Quail St. Suite 107, Newport Beach, CA 92660
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