コロナでビザ更新の面接が中止! 不法滞在になってしまいますか?

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Q. 私は現在「E-2」ビザを持っていますが、もうすぐビザが切れるので、更新のため日本のアメリカ大使館での面接予約を入れました。ところが、コロナウイルス対策に伴い面接がキャンセルされてしまいました。このままだと不法滞在になってしまうでしょうか。先が見えないこの状況では国外への渡航は避けたいです。日本に帰ってしまうと、いつアメリカに戻って仕事に復帰できるかも分かりません。どのように対応すれば良いですか?

A. 在日アメリカ大使館は、2020年3月19日より(緊急の場合を除いて)非移民ビザの面接を一時的に停止する発表を行いました。これにより、3月19日以降の非移民ビザ面接の予約がキャンセルされました。
 
まず、あなたの場合、「E」ビザが切れること自体がアメリカでの滞在資格を失うということにつながるわけではなく、アメリカの滞在期間をコントロールしているのは「I-94」です。「I94」はウェブサイトで確認することができます。ただし、このサイトもまれに正確でない場合があるので、パスポートに貼られている最も新しい入国スタンプも確認してください。

「I-94」はアメリカ国内での延長申請が可能

通常、「I-94」では、特殊な場合を除いて入国から2年間の滞在資格が与えられています。ここで言う特殊な場合とは例えば、入国した時点においてパスポートの有効期限が半年以下で、「I94」の有効期限がパスポートの有効期限に合わされている場合などです。もし「I-94」に正確な有効期限が記されていない場合は、この「I-94」の訂正の申請ができます。一般的には、この訂正を行う最寄りの移民局に赴くことにより申請しますが、ロサンゼルス地域に在住の場合は、E-mail により訂正のリクエストの申請を行えます(I94LAX@CBP.DHS.GOV)。
 
前述のように、滞在資格をコントロールしているのは「I-94」であり、仮にパスポートに貼られているビザの有効期限が切れていたとしても、「I-94」の有効期限が切れていなければ米国内に合法的に滞在していることになります。
 
また、この「I-94」の有効期限が切れてしまいそうな場合は、ほとんどの場合、アメリカ国内で延長が可能です。例えば今回の「E」ビザの場合、移民局に、「I-129」の申請書を提出することで2年間の延長が可能です。これにより、アメリカ国外に出ることなく、合法的に働き続けながら、今回の事態の終息を待つことができます。さらに、この「I-94」の延長申請は、現在の「I-94」の有効期限が切れるまでに申請を行えば、現在の「I-94」が切れた後も審査の結果が出るまで合法的にアメリカに滞在して就労も続けられます。

「やむを得ない事情」の説明が賢明なケースも

また、今回の全米にわたるコロナウイルス対策により、今後例えば会社から既定の給与が支払われなくなり、ステータスを維持することができなくなったが、社会的にも重要な職務のため仕事を辞めて日本に戻るわけにもいかないなど、やむを得ない事情も多々出てくると考えられます。そのようなケースへの対応として、移民局の(移民局だけではないですが)規定の中に“Nunc Pro Tunc”という例外規定があります。これは、「申請者本人のコントロールの及ばないやむを得ない事情」により、不法滞在になってしまったような場合に、この「やむを得ない事情」の説明を行うことにより、オーバーステイ等を免除してもらう申請方法です。ただし、各々の案件がここで言う「やむを得ない事情」に該当するか否かは、各々の審査官の裁量に委ねられることになります。今回のコロナウイルス対策により不法滞在となってしまうケースがこれに該当するかは今後の移民局の対応次第ですが、個々の状況により判断される可能性が高いでしょう。
 
そこで、単にコロナウイルス対策に巻き込まれたから仕方がないと考えるのではなく、前述のような申請方法を含め、制限された状況の中でもできる限りの対策を講じておくことが賢明と言えます。例えば、「申請者本人のコントロールの及ばないやむを得ない事情」に該当するか否かの判断を移民局あるいはアメリカ大使館の審査官が行う際、結果的に同じ不法滞在になってしまった場合でも、「何の対応もしないまま不法滞在になったケース」と、「できる限りの対応は行ったがやむを得なく不法滞在になってしまったケース」とでは、判断が大きく変わることは言うまでもないからです。しかるべき処置方法があったにもかかわらず、その対応を怠っていれば、「やむを得ない事情」とは判断され難い可能性が高いです。従って、あなたの置かれた状況において何の対応ができるのかを判断し、その対応策を講じておくことが非常に重要であると言えます。
 
※このページは「2020年4月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
21221 S. Western Ave. #215, Torrance, CA 90501
TEL 310-618-1818 / FAX 310-618-8788
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