5段落エッセイ(Five Paragraph Essay)とは何ですか?

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Q. 子供が現地校の 「エッセイ」 で苦労。 エッセイの目的と勉強法は?

 

A. エッセイは現地校で最も大切。 基本形を日本語でしっかり理解する

松本輝彦(INFOE代表)

エッセイとは?

アメリカでのエッセイにはさまざまな目的・形式の文章が含まれます。しかし、小学校から高校までの学習で中心となるのは「persuasive(説得力のある)essay」です。私は、日本人の子供たちにそのタイプのエッセイの特徴を「自分の意見を、読み手に伝えて説得する文章」と説明しています。

「essay」の日本語訳は「随筆」が一般的です。しかし、日本語の「随筆」が示す「味わい深く情緒的な不定形の文章」ではなく、現地校で学ぶエッセイは「自分の主張をはっきり伝える、形式の明確な文章」のことです。

エッセイ学習の目的

アメリカの学校教育の大目的は、「民主主義を守る子供を育てる」ことです。そのための「自分の意見を、相手にしっかり伝える」教育は重要です。その「自分の意見をまとめ、相手に伝える文章表現のトレーニングがエッセイの学習」で、小学校高学年から中学・高校へと繰り返し続けられます。

また、アメリカの大学教育では、自分の研究や考察の結果・内容を、他の学生・研究者に論理的に伝えるためのエッセイ(ペーパー、論文)のトレーニングが続けられます。自分の研究内容を他の研究者に理解してもらって、初めて「研究」として認められるのです。

エッセイ学習のステップ

学校での言語としての英語の学習は、小学校低学年(1~3年)の「話し言葉」中心の学習から始まり、高学年(4~6年生)では「読み書き」の学習へと移っていきます。

「書く」学習は、低学年のジャーナルなどで自由に文章を書かせ、「書くこと」の習慣付けをスタートします。その後4年生頃から、エッセイの学習として「五段落エッセイ(five paragraph essay)」のトレーニングが始まります。6年生の終わりまで、この基本的な型に従ったエッセイの書き方が、徹底して繰り返し指導されます。

中学校になると、五段落エッセイで、自分の意見を読み手に伝える文章の練習が多くなります。「主張は明確か」「主張をサポートする理由は」「主張やサポートが論理的か」などの質問が繰り返され、この質問に回答するための「考える」トレーニングがクラス内の質疑応答・ディスカッションを通じて行われます。

高校では、五段落エッセイの基本の徹底復習をする生徒から、五段落エッセイの型を崩してより内容の充実したエッセイの勉強をする生徒まで、生徒の学習レベルに応じた多様な指導が行われます。

大学入学にあたって、大学での学習の基礎としての五段落エッセイの実力を判定するために、統一試験(SAT、ACT)でエッセイのテストの受験を、4年制大学のほとんどが要求します。

五段落エッセイ

文字通り、5つの段落で構成されるエッセイの型は、エッセイの基本形です。

導入と主張・意見をまとめた第1段落。その主張・意見を説明する3つの理由と、それぞれの理由をサポートする文章で構成される第2~4段落。最後に、第1段落の主張・意見を繰り返し強調する第5段落。

このように、形式・ルールがはっきりしているので、それを理解すれば、限られた英語力でもエッセイを書き上げることができます。

エッセイの勉強法

小学校低学年から現地校で学んでいる子供は、学校の指導に従い、コツコツと勉強するのが最も効果的な勉強方法です。

小学校高学年で渡米した子供は、英語力も不十分なまま、いきなり英語で、型の決まったルールの多い文章を書かなければならないので大変です。英語力の向上と並行して、学校でのエッセイ指導の内容を、子供がしっかりと理解できる日本語で教えてあげるように、サポートしてあげてください。

中学校以降から現地校で学んだ生徒は、五段落エッセイの基本型の理解と練習ができていません。基本形は簡単ですから、一度、日本語でしっかりと理解する機会を作りましょう。

◇ ◇ ◇ ◇

エッセイを書く力は、アメリカの学校教育で最も大切なスキルの1つだと、おわかりいただけましたでしょうか。その力は、日本帰国後も、大学、社会に出てからも、お子さんの「宝」になることを信じてください。

(2010年11月1日号掲載)

Q. 英語の成績は良いのですが、エッセイが書けません。

渡米して3年。10年生の娘は、英語の成績は良いのですが、エッセイが書けないと悩んでいます。どんな勉強方法があるのでしょうか?

 

A. 「Five Paragraph Essay」の基礎トレーニングがあります。

松本輝彦(INFOE代表)

「Five Paragraph Essay」

小学校高学年で学ぶ「Five Paragraph Essay」は、自分の意見を読み手に伝えるための文章です。

文章の形式は、序論(Introduction)・本論(Main Body)・結論(Conclusion)からなる3段法ですが、本論をさらに3段落に分け、全部で5段落になることから「5段落エッセイ」と呼ばれています。各段落の役割をはっきりさせ、形をしっかり習得することから、本格的な書き(Writing)が始まります。

テニスの入門者にラケットの握り方・振り方を教えるように、4年生から6年生の間に徹底して型にはめるトレーニング方法を科し、子供全員ができるようになるまで続けられます。

エッセイの重要さ

「Five Paragraph Essay」のトレーニングは、アメリカの教育のねらいを最も良く表しており、かつ、日本の教育ではまったく見られないものです。

このエッセイは、相手を説得・納得させるために書くもので、内容的には「Persuasive Essay」に分類されます。自分の主張がないと書けませんし、書く必要もありません。

まず、自分の意見をしっかり持ち、それを相手に伝え、時には相手に行動を取らせるために書くものです。「民主主義を守るアメリカの国民」を育てる目的に合致するものです。

そのトレーニングは4年生から始まり、高校卒業まで続きます。大学入学に当たり、しっかりした「Five Paragraph Essay」が書けることが、書きの最低限の能力として要求され、大学出願のための統一試験にも含まれています。

さらにそのトレーニングの特徴は、5段落というしっかりした形式・構造を、子供たちに叩き込む勢いです。その構成の単純さゆえに、誰でもできる、誰にもやらせるトレーニングになっているのです。

まさに、「書く」というアカデミックなスキルと、自分の意見を最も効果的に伝える形式という意味で、「Five Paragraph Essay」を書くトレーニングは重要なのです。

勉強方法

日本からやってきた子供自身はあまり自覚していませんが、このエッセイのトレーニングは大きなハードルです。

英語力の問題は明らかですが、それに加えて、日本の学校で型にはまった文章の書き方などを学んだことがないからです。さらに、自分の主張を相手に伝えるための文章を書く指導もほとんど受けていません。

エッセイの日本語訳は「随筆」ですが、情感豊かな文章を表す日本の随筆とはまったく異なります。伝統的にも、文化的にもなじみのない文章なのです。これらの違いをはっきり認識しておけば、現地校で学ぶ日本人の子供たちにとっては、そんなに大きなトラブルにはなりません。

具体的な勉強方法は、「『Five Paragraph Essay』の型を知り、練習すること」です。小学生でもできる簡単な型の練習ですから、中学生や高校生にとっては決して難しいものではありません。現地校の英語の先生に指導してもらっても結構ですが、日本語でしっかりと理解できるようにバイリンガルの家庭教師や大学生を探してみることをおすすめします。

「Five Paragraph Essay」は、アメリカの教育で最も重要なスキルです。また、日本帰国後の子供にとっての「宝」になるものです。しっかり理解し、確実に学んでください。

【Five Paragraph Essay(5段落エッセイ)】

 

第1段落:序論(Introduction)
自分の意見(Thesis)を述べる。

第2-4段落:本論(Main Body)
自分の意見をサポートするため、段落ごとに異なった事実や根拠を示す。
各段落の始めにはその段落の内容を述べた文(Topic sentence)を必ず入れる。

第5段落:結論(Conclusion)
表現を変えて、自分の意見をもう1度述べる。

(2007年11月1日号掲載)

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