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アメリカで働く(多様な職業のインタビュー集)

現地情報誌「ライトハウス」が長年に渡り連載してきた人気コラム「アメリカで働く」は、アメリカで働く日本人・日系人、100名以上の皆さんへのインタビュー集。業種も、職種も異なる100名以上の皆さんそれぞれにとっての「アメリカで働く」とは?アメリカでの"キャリア"や"仕事"が見えてきます。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

保険ブローカー(サービス・サポート系)

安岡忠展さん

独立に際してついて来てくれた社員に感謝
従業員が成長することで会社を拡大したい


アメリカで夢を実現させた日本人の中から、今回は保険ブローカーの安岡忠展さんを紹介しよう。受験に失敗し、弱点の英語を克服するために留学。自動車保険を買った保険代理店でアルバイトを始め、瞬く間にトップセールスを売り上げた。2001年に独立し、現在は18州で業務を展開している。


【プロフィール】やすおか・ただのぶ■1968年生まれ。兵庫県出身。88年、ラッセン・コミュニティーカレッジに留学。90年、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校に編入。在学中に損害保険のライセンスを取得。92年に同校卒業、保険代理店に就職。2001年、ダイワ保険を設立。現在は損害保険、生命保険、証券などを取り扱い、18州で業務を展開している。

たまたま取った統計学が
保険業で役立つことに

ラッセンにいた頃、夏場はチェーンソー片手
に木こりの手伝い

 希望する大学の受験に英語が原因で落ちたので、英語力をつけるために留学。1年の予定でしたが、こちらでの生活が気に入り、そのまま残ることにしました。北カリフォルニアにあるラッセン・コミュニティーカレッジに入学し、これほど勉強したことはない、というくらい勉強しましたね。スーザンビルという町は本当に何もないところで、休暇中はスキーや木こりの手伝いをしていました。

 その後、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校に編入し、得意だった数学を専攻。中学生の頃からコツコツとお金を貯めていたので、最初のうちは自分で費用を工面しましたが、そのうち足りなくなり、親に出してもらっていました。だから、どうしても2年で卒業したかったのですが、数学科はスケジュール的に無理だったため、統計学に変更しました。保険というのは統計から入るので、今になればこれが1番役に立っています。よくあの時、統計学を専攻したものだと思います。

 大学に入って半年ほど経った頃、自分の自動車保険を買った保険代理店の社長からアルバイトの誘いが。最初はファイルの片づけを手伝う程度でしたが、1990年に損害保険のライセンスを取得しました。ライセンス試験を受けるには、まず州の保険局が認可した学校で必要な時間数のクラスを受けます。詰めて受ければ1週間ほどで終わりますが、私は週末しか受けられなかったので、約1カ月かかりました。内容は法律などのルールに関する勉強で、実践は先輩に教わりました。


瞬く間に顧客200人以上
働く分増える収入に感動

新しい保険が出たら誰よりも先に学ぶ姿勢は、
経営者となった今も変わらない

 ライセンスを取得すると保険を売ることができますが、自分で顧客を取って来なければなりません。でもセールスをやったこともないし、どうしようかと考えて、まず、大学の外国人学生アドバイザーオフィスの掲示板に手書きのフライヤーを貼りました。これが成功して、番号を載せていたページャーが授業中もしょっちゅう鳴って、困ることすらありました。また、学生寮のルームメートとして入ってきた日本人に、「知り合いを紹介してくれたらお礼をするから」と頼んだところ、彼と同じ英語学校に通う人を紹介してくれました。それも数カ月で200人くらい。ラッキーでしたね。

 親に「仕送りはもう要らない」と電話できるくらいの収入になり、会社も「日本人は利益が出る」と認識し、広告の費用を出してくれ、それで顧客がまた増えました。コミッション制で働いたのは初めてだったので、やればやるほど収入が増えるのは新鮮な感動でした。

 92年に大学を卒業し、そのままその代理店に就職しましたが、その時点ですでにトップセールスマンになっていました。入社した時点では自動車保険しか扱っていなかったのですが、自分の知らない分野の問い合わせを受けるようになり、自力で勉強を始めました。でも、先輩にも知っている人がいなかったので、基本的なことすらわかりません。保険会社に直接電話して教えてもらいましたが、これは恥ずかしかったですね。

 全種の保険知識を習得した後は、会社でも先輩に教えるなど、リーダーシップを取って業務を拡大。皆がすべての分野を手がけるようになると、会社としても売上げが倍々で増え、会社全体の活気も出てきて、3人だった社員が10数人にまで増えました。

 2001年に独立しましたが、その時、自分の顧客を会社から買い取りました。訳のわからない学生を雇ってくれ、世話になった会社には本当に感謝しています。だから、きっとお客様はついてきてくれたと思うのですが、「買い取りたい」と申し出ました。独立した時は、さすがに不安でした。知識面では誰にも負けない自信はありましたが、実はセールストークとか苦手でしたから。マーケティングに関しては、しっかり勉強しました。

 私のアシスタント2人が、私の独立に合わせてついてきてくれました。これが1番うれしかったですね。だから絶対に、この2人の給料だけは確保しなければならない、意地でも彼らの給料の1年分は貯めようと決意し、最初の1年間は自分の給料を受け取らずにやりました。


ともに働く従業員に感謝
今後の目標は彼らの育成

 保険会社が持っている商品を売るのが代理店の仕事。お客様の心配を見極め、最適なアドバイスをするのが保険のプロです。知識は当然ですが、コンセプトを理解し、リスクを的確に判断できないと生き残っていけません。「紹介してもらった保険に入っていたから訴訟を免れた」などと聞くと、うれしくて仕方ないですね。

 今の課題は、従業員をいかに育てていくかです。会社のために働いてくれている彼らには感謝しているので、これからは彼らが成長するのを手伝いたい。彼らが自分のキャパシティーを上げてくれ、それに伴って会社が大きくなればいいなと思っています。

 アメリカで働きたい人にとって、1番にクリアしなければならない問題はビザです。だからまず、どの業種で働きたいのか目標を決めて、そのために何を学ぶべきかを考えるといいでしょう。また人員募集がなくても、積極的な就職活動をおすすめします。経営者はいつも良い人材を探しているはずですから。

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(2007年1月16日号掲載)