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JOB

アメリカで働く(多様な職業のインタビュー集)

現地情報誌「ライトハウス」が長年に渡り連載してきた人気コラム「アメリカで働く」は、アメリカで働く日本人・日系人、100名以上の皆さんへのインタビュー集。業種も、職種も異なる100名以上の皆さんそれぞれにとっての「アメリカで働く」とは?アメリカでの"キャリア"や"仕事"が見えてきます。

ライトハウス編集部
ライトハウス編集部

ヨガ・インストラクター(その他専門職)

白山晴久さん・朱美さん

ヨガは一生やっていけるもの
ライフワークとして多くの人とシェアしたい


ビクラムヨガ・レドンドでのインストラクターを務める白山さん夫妻を紹介。温室で行う「ビクラムヨガ」の虜になり、脱サラしてインストラクターの道へ。ビクラムヨガに出会い、身体も人生も変わったという。


【プロフィール】しらやま・はるひさ■兵庫県出身。大学卒業後、就職して渡米。2005年9月にティーチャートレーニングを受講。修了後、06年1月よりスタジオで教える。
しらやま・あけみ■島根県出身。東京で勤務後、90年に結婚、渡米。日系企業で勤務したが、ビクラムヨガに魅せられ、ティーチャートレーニングを受講。修了後、05年12月よりビクラムヨガのインストラクター。

後悔は実行してから
脱サラをポン! と決意

9週間、ビクラムヨガ漬けになったティーチャートレーニング

晴久:海外に出たいと思っていたので、アメリカの工場での勤務を前提とした企業に就職し、こちらに来ました。妻は大学のヨット部の後輩でした。

朱美:アメリカでは最初、駐在員の妻という立場でしたが、永住権を取ってからは日系の企業で働き始めました。お互いずっと仕事が忙しくて夜も遅く、週末はゴロゴロしていただけでしたが、ある時、友人がビクラムヨガのチラシを持って来てすすめてくれ、なぜか「やってみたい」という思いに駆られて。夫を説得して日曜の朝、2人でスタジオに足を運びました。
 運動不足の上、貧血気味で温泉やサウナが苦手でしたので、温室で行うヨガに、最初は暑くてのびてしまいました。でも、クラスが終わって冷たい風に吹かれると気持ちがいい。「またやってみたい」と毎週末通うようになり、頻度を増やしていきました。夫も週末に通い始め、やはり週3、4回と増やしていきました。
 そのうち、インストラクターになりたいと思うようになりました。近くにスタジオがあれば通えますが、将来どこに住むかわからない。でも、自分が先生になれば、いつまでもヨガを続けることができる、そう考えたんです。夫に相談すると、「じゃあ、なれば?」と賛成してくれました。
 スタジオを開いて経営すればよいのですが、1人では難しい。そこで夫に、「一緒にやりたいんだけど」と相談したんです。

晴久:僕もポン! と決意しました。「それもいいかな。一緒にやろう」と。人生は1回しかありませんから。やるか、やらないかで悩むんだったら、やった方がいい。日本人はやらずに後悔しますが、アメリカ人はやってから後悔する。アメリカ人はそこが素晴らしいと思うんです。実際、全然不安はなかったですね。2005年9月に、2人で9週間のインストラクター養成講座を受けました。


ヨガを通して変わった
身体そして人生観

朱美:インストラクター養成講座を受けるには、スタジオで6カ月練習をして、スタジオのオーナーから本部に推薦状を書いてもらいます。そして、9週間で、90分のクラスを朝と夕方の2回受け、その間に講義を受けます。解剖学も学びますし、健康に関する講義や教授法の講義も受けます。ビクラムヨガの創設者であるビクラム氏の美学や生い立ちなど、自らによるレクチャーもありました。

晴久:朝の9時半から夜の12時まで毎日、ガンジス川の流れのように、ゆっくりと行われました(笑)。受講生は220人。ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカなど世界中から来ており、その時、改めてヨガの人気を認識しましたね。

朱美:ビクラムは部屋を温めていますが、これは筋肉と関節を伸びやすくしてストレッチをする時に負担を少なくするため。ヨガにはいろんな流派がありますが、瞑想中心でスピリチュアルの世界を追求するものに対し、ビクラムは身体のために行うものです。

晴久:ビクラムでは、身体は神様からの借り物。神聖なる”テンプル(寺)“であり、それをキレイに保つことが私たちの仕事と考えています。それができた時に、スピリチュアルな考えが持てるようになる。「健全な肉体には健全な精神が宿る」ということです。
 僕たち自身、有名ブランドを身に付けて満足していた時代もありましたが、今はそういったものに興味がありません。なぜなら、自分の身体が素晴らしいから(笑)。健全な身体を持てば、服なんてなんでもいい。
 また、生活自体も変わりました。昔は高いワインを美味しいと思っていましたが、今はこだわっていません。スピリチュアルとは違うかもしれませんが、ヨガを通して自分の身体、食べる物、行動が”ミニマイズ“されてきました。


スタジオ経営が
次のチャレンジ

朱美:デスクワークをしていた頃は、いつも手足が冷えて新陳代謝が悪く、ストレスから暴飲暴食に走ることもありましたが、今は身体を常にシェイプアップし、自分の身体への理解が深くなりました。ヨガを通して、身体が健康になり、薬を飲む必要もなくなったのもうれしいことです。
 ヨガの魅力は、スポーツと違って、今すぐできなくてもいい。また、若くなくてもいい。身体さえ動かすことができれば、自分のペースで、一生できるところです。1年半のインストラクター経験を含め、3年やっていますが、基本の26のポーズもまだ練習し続けています。80歳のおばあさんで、今でも教えている方がいます。ヨガには終わりがありません。

晴久:ビクラムヨガは慣れるまではきついですが、慣れてきて身体の変化を感じられるようになると気持ちいい。達成感があるものです。また、ヨガというのは忙しいものではありません。息をするのもヨガ。歩くのもヨガ。要はその動作を集中して行うことがヨガなんです。

朱美:今、スタジオとなる物件を探していますが、ビクラムヨガはスタジオの家賃だけでなく、シャワーやヒーティングなどの設備投資もかかりますので、大きなチャレンジです。それでも、2人でスタジオを経営したいと思うのは、生徒さんたちと継続的にコミュニケーションを取っていきたいからです。平日はフルタイムの仕事をして、週末だけ教えるというと経済的には安定するかもしれませんが、片手間でやりたくないんです。
 ポーズがまったくできなかった生徒さんが少しずつできてきたとか、以前に比べて健康になってきたとか、そういったことを話してくれ、喜んでおられる生徒さんの姿を見るのが1番うれしい。生徒さんがより健康的になって、ハッピーになっていくことがうれしいんですね。
 自分たちのスタジオを作って、生徒さんを増やし、より多くの方とこの素晴らしさをシェアしていくことが次の目標です。

2007年6月16日号掲載