アメリカで働く・学ぶ

アメリカで働く

テレビでシャチのショーを観て「これだ」と
次なる目標はシャチのショー

イルカトレーナー 石田絵里子さんの場合

アメリカで夢を実現させた人の中から、今回はイルカトレーナーの石田絵里子さんを紹介しよう。動物好き、水が好きだった石田さんはテレビでシャチのショーを観て一目ぼれ。大学卒業後、念願のサンディエゴのシーワールドでシーズナルポジションで採用、そして現在、正規職員として働いている。

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いしだ・えりこ■1974年横浜出身。日本の高校を卒業後、渡米。サンマルコスにあるパロマーカレッジに入学し、95年9月にUCSDに編入、バイオロジーを専攻する。98年に同校卒業、バイオテクノロジー関連の企業勤務を経て、2003年5月からサンディエゴの海洋テーマパーク「シーワールド」で正規職員として勤務中。

動物好きで水泳も得意。「これしかない」と思った

来園者へのプレゼンテーションも
この仕事で最も必要な能力のひとつだ

 小さい頃から動物が好きで、何か動物にかかわる仕事をしたいと思っていました。高校生の頃、サンディエゴのシーワールドで行われているシャチのショーをテレビで観て、「これだ」って思ったんです。動物も好きだし、昔から水泳が得意で、水の中にいるのが好きでしたので、この仕事をしようとその時決めました。同じ頃に友達が1年間交換留学でアメリカに行っていて、その話を聞いて楽しそうだなと思い、大学に留学することも考え始めました。

 高校卒業後、すぐに留学してホームステイしながら、パロマーカレッジに2年間通いました。その後、UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)に編入し、バイオロジーの専攻で、アニマルコミュニケーションや動物の行動学、調教の基礎なども学びました。

 4年生の時に、シーワールドのトレーナーのポジションに応募し、難関の水泳のテストに合格。その年は採用されなかったのですが、翌年、大学卒業後すぐ、プラクティカルトレーニングビザでイルカのトレーナーとして採用されました。5月から9月の夏限定のシーズナルポジションでしたが、憧れの職場で働けることになって本当にうれしかったです。

 プラクティカルトレーニングの期間後、H−1Bビザをサポートしてくれるところを探し、2000年にバイオテックの会社に入社して、リサーチ系の仕事などをしました。ビザのステータスが安定した分、安心感はありましたが、いつか必ず海洋動物の業界に戻って、トレーナーになりたいという思いは募っていくばかり。その後、別のバイオ系のコンタクトレンズの研究の会社にも勤めました。生活が安定したことと、違う分野での仕事ができたことは良い経験となりました。

 いつかアメリカでトレーナーをという思いで、グリーンカードの申請を要請していたところ、アメリカ人の夫と知り合って02年に結婚。私に好きなことをさせてくれる人でしたので、これをきっかけに、迷わずトレーナーの道へと再びシーワールドに戻りました。

ナレーターや餌付け、レスキューの仕事も

芸をしていたイルカはメス同士。
ベストフレンドのように息もピッタリ

 再入社後、最初は教育部門に所属。いろいろなエリアのナレーターとしてナレーションを4カ月やり、さまざまな動物の解説をするため猛勉強しました。不意に質問され、困惑することもありましたが、お客さまと話すことで学ぶことも多く、自分の知識の幅が広がり、プレゼンテーション力もつきました。

 次に飼育部門の飼育係のアシスタントとして採用され、早朝から重いバケツを持って、シーワールド内の動物の餌の準備をしていました。
 その後、トレーニング部門で鳥のトレーナーを5カ月やりました。初めは鳥にあまり興味はなかったのですが、フクロウやハゲタカの担当になって鳥も好きに。鳥のトレーナーもとてもいい経験になりました。

 それからまた、飼育部門に戻り、野生動物のレスキューリハビリにもアシスタントとして携わりました。ケガや病気で海辺に打ち上げられた野生動物の保護やリハビリをする仕事で、獣医の指示のもと、治療の補助をしました。子供でも100キロ以上あるゾウアザラシを運んだ時は、本当に重くて大変でしたね。

イルカの調教は根気が必要。体力的にハードな仕事

 そして、05年3月に、ようやく念願のイルカのトレーナーになりました。調教師としての仕事がようやくスタートしたんです。イルカのトレーニングは根気が必要。ステップ・バイ・ステップでいろいろなことを学んでいきます。こちらがイライラしてはダメ。少しずつ時間をかけてやる必要があるんです。そして、ある日突然できるようになると本当に感動します。

 私の職場である「ロッキーポイント」にはトレーナーが16名おり、ローテーションで皆、さまざまな仕事を担当します。パブリックフィーディングは1日3〜6回。トレーニングセッションは4〜5回。ドルフィンエンカウンターは1日1、2回。これはトレーナーのガイドのもと、イルカと遊び、触れあうプログラムで、私が担当の時は日本語でも行っています。

 この仕事は体力的にもハードで競争も激しいですね。特殊な職業でポジション数に限りがある上に、希望者も多く、上にいくのも大変で、常に自分でスキルを高める努力が必要です。トレーナーの資格を取るには、水泳のテストにパスすることが第一。大学の学位は特に必要ではありませんが、シーワールドのスタッフはほとんどが持っています。でも、経験がより重視され、特に公共でのプレゼンテーション力が問われるようです。私自身、プレゼンテーション力を高めるため、演技のクラスを取り、ボイスレッスンを受けています。

 これからも、もっとトレーナーとしての経験を積んでいきたいですし、もっとショーをやっていきたい。次なる目標は「シャチ」。とてもダイナミックなシャチのトレーナーをやってみたいですね。

 トレーナーになりたい人へのアドバイスは、「努力と根性」。道のりは長くて大変ですが、私もゼロから始めて今に至っています。アメリカはそういう国ですので、続けてがんばれば、きっと道は開けると思います。

(2006年1月16日号掲載)

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