大学進学101② アメリカのリベラルアーツ教育

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アメリカの大学教育の魅力は多岐にわたりますが、中でも特筆すべきなのがリベラルアーツ教育(教養教育)です。将来さまざまな分野で活躍できる人材を育てるのがアメリカのリベラルアーツ教育です。

社会のリーダーを育てるリベラルアーツ教育

現代社会では、ある特定の分野の専門知識が求められる一方で、幅広い知識を身に付け、異なる考え方やアプローチ方法が理解できるような、総合力が必要とされています。リベラルアーツ教育が目指すのは、あらゆる問題を総合的に判断できる能力であり、幅広い視野で物事を捉えて決断できる能力であり、また、さまざまなタイプの人々を納得させられるコミュニケーション能力でもあります。つまり、将来社会で必要なあらゆる能力を高めることがリベラルアーツ教育の目的なのです。

日本では、かつては教養教育はあまり重要視されていませんでした。特に就職氷河期以降、企業のニーズに応えたいとする大学の思惑が、専門教育偏重の流れを加速させました。しかしながら、社会に出て本当に活躍できるのはしっかりと教養を身に付けた人であるという認識が広がり、日本でもリベラルアーツ教育の重要性が徐々に浸透し始めました。近年はリベラルアーツ教育を標榜する大学が日本でも増えてきましたが、この分野において、長年注力してきたアメリカの大学には、揺るぎない優位性があります。

 

学部教育を牽引するリベラルアーツ・カレッジ

多くの州立大や大規模私大のように、幅広い学部を有し、大学院の教育にも力を入れている大学は「総合大学」と呼ばれています。これに対し、「リベラルアーツ・カレッジ」では、特定の職業に直結する専門知識や技術の会得だけでなく、幅広い学問領域を学び、他分野にまたがる問題を解決する能力を身に付けることを目的とした教育を提供しています。

リベラルアーツカレッジの根幹をなすのが教職員と学生の密接な関係です。総合大学がリサーチや大学院教育に注力しているのに対し、リベラルアーツ・カレッジでは、全ての教職員は学部教育のために存在します。大規模な研究系大学では、高名な教授が学部のクラスを担当することはめったになく、それどころか、アシスタントの大学院生が学部の授業を担当することもよく見受けられます。リベラルアーツ・カレッジでは、全てのクラスにおいて担当教授から学べます。

少人数のクラスは先生への質問がしやすく、クラスのディスカッションにも参加しやすいなど、大きなメリットがあります。また、クラスでは全ての学生に気を配った指導が行われるので、時には学習の進め方や日々の生活についてのアドバイスなども行われます。100人規模の教室でレクチャーを受ける大規模総合大学のクラスでは望むべくもないことです。

 

総合大学も注力する教育

実は、ハーバード大学やコロンビア大学のような、全米を代表する名門総合大学も、学部ではリベラルアーツ教育に力を入れています。

マサチューセッツ工科大学(MIT)のような理工系専門大学でも、リベラルアーツ教育に力を入れています。MITは、学部でも最先端の科学や技術の教育が行われているイメージがありますが、実際はそうではありません。先端科学や技術は、大学院以降の研究を通じて自ら開拓していくものであり、学部では将来の準備を行う場として、「学ぶ」スキルを身に付けさせることに力を入れているのです。

 

リベラルアーツ・カレッジのキャリア支援

リベラルアーツ・カレッジは専門性が身に付かないので就職に不利と言う人もいますが、それは誤解です。リベラルアーツ・カレッジは、日本の大学の教養学部とは異なり、一般教養教育に加え、専攻分野の教育もしっかり行われます。豊かな教養をベースに、専門性も身に付けられるのがリベラルアーツ・カレッジです。

リベラルアーツ・カレッジの卒業生は、即戦力としての価値も高く評価されています。ウィリアムズ・カレッジの調査によると、リベラルアーツ・カレッジの学生は、総合大学の学生に比べてインターンシップを通じて1年以上の経験を積んだ学生の割合が高く、また在学中に海外で学ぶ学生の割合も高いそうです。

リベラルアーツ・カレッジで習得した力は、生涯にわたって学び続けるのに必要な能力であり、就職活動で高く評価されるのはうなずけます。卒業生は、職場でも大きく成長し、重要な役割を担っていくことになるでしょう。
 
 (2019年2月16日号掲載)

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