Early Decision(ED)のケーススタディー

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(2023年2月16日号掲載)

近年のアドミッションの特徴の一つに、早期締切でアプライする学生の増加が挙げられます。パンデミック以降、難関大学への進学がさらに難しくなったこともあり、アドミッションで有利になるEarly Decisionの利用者が増えているのは特筆すべき点です。

Early Decision(ED)の特徴

アメリカの大学の出願には、一般締切(Regular Deadlines)と早期締切(Early Deadlines)があります。さらに、早期締切はEarly Decision(ED)とEarly Action(EA)に分けられ、ED、EAの両方を採用、どちらか片方を採用、一般締切のみ採用など、出願方法は大学により異なります。

EDとEAは、どちらも締切が早く、結果が早く分かる点は同じですが、EDは「合格したら必ず進学する」という条件がつきます。EDの最大のメリットは、アドミッションで確実に有利になる点です。一般締切の合格率が低い難関大学でも、EDで出願すると合格率が上がります。

例えば、ニューヨークの名門リベラルアーツ・カレッジBarnard Collegeでは、2022-23年度のアドミッションで、1671人がEDで出願し、前年度から11%増となりました。Barnard Collegeでは、入学する学生の60%がED受験者です。

EDを利用するのに適した大学

EDはアドミッションで有利になりますが、同時期にEDで出願できる大学は1校のみです。EDで合格したら、原則、進学を取り消せません。そのため、合格したら必ず進学したい本命の大学がEDの対象となります。

本命の大学が1校あり、その大学がEDを採用しているなら、EDでの出願は可能です。ただし、学費を重視して大学を選びたい学生は、慎重に検討する必要があります。EAや一般締切で出願した場合、大学から提示される奨学金などの条件を比較してから進学先を選べますが、EDは提示される学費を問わず、進学しなければなりません。

メリット・スカラシップを獲得して進学を希望する学生にとって、EDの利用は得策ではないかもしれません。合格通知を出せば必ず入学する学生に、大学が高額なメリット・スカラシップを提示するとは考えにくいからです。

一方、ファイナンシャル・ニードのある学生が、ニードベースの奨学金制度が充実している大学をEDで出願することは問題ありません。ファイナンシャル・ニードを全額大学が負担してくれるのであれば、EDと一般締切で学費に差はありません。

ED利用のケーススタディー

2校のリベラルアーツ・カレッジで、EDを利用すべきか検証してみます。

Pomona Collegeは、一般締切の合格率が6%、EDの合格率が13%の超難関大学で、学費は年間8万4064ドルです。Pomona Collegeは、メリットベースの奨学金制度はありませんが、ニードベースの奨学金制度が充実しており、ニードベースの奨学金を得ている学生の平均受取額は6万ドル以上です。Pomona Collegeの学費は、家庭の経済状況だけで決まるので、EDと一般締切で学費に差はありません。入学者の45%がED受験者で、Pomona Collegeが本命であれば、EDを利用するのは理にかなっています。

University of Puget Soundは、EDとEAの両方を採用しEDの合格率は51%です。University of Puget Soundにもニードベースの奨学金制度があり、Pomona Collegeほどではありませんが、ファイナンシャル・ニードをカバーしてくれます。University of Puget Soundにはメリットベースの奨学金制度もあり、ニードベースの奨学金があまり期待できない家庭でも、評価次第ではメリットベースの奨学金を獲得して、学費を下げられます。

University of Puget Soundから高い評価が得られる可能性がある場合、ここが本命であっても、EDよりもEAを選択する方が良いでしょう。EAを選択すれば、メリットベースの奨学金を獲得できる可能性が高まります。しかし、ボーダーライン上で合格を最優先に考えたい学生は、EDでアプライする選択肢も考えられます。もともとメリットベースの奨学金があまり期待できないのであれば、EDで合格率を高めることは、理にかなっているでしょう。

(2023年2月16日号掲載)

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