SATとACTのスーパースコアリングとは

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今回は、スーパースコアリングと呼ばれる、近年急速に 普及したアドミッションテス トの評価方法の仕組みや導入背景についてお話しします。アメリカの大学では、入学審査の際にACTまたはSATの成績の提出を求められる場合が多く、これらのテストは、アドミッションテストと呼ばれています。アドミッションテストが出願要件の場合、ACTかSAT、どちらかのスコアを提出することになります。そして、同じテストを複数回受けた場合、スーパースコアリングの適用が可能となります。

スーパースコアの計算方法

SATは英語と数学の2科目で成り立っています。各教科は200〜800点で評価され、2科目の合計点がSATのスコアです。SATのスーパースコアリングとは、SATを複数 回受験した場合に、各科目の最高点を選び、その合計をテストスコアとする方法です。

例えば 、SATを2回受け、英語の点数は1回目の方が高く、数学は2回目の方が上だった場合、1回目の英語と、2回目の数学を合計した点数が、SATのスーパースコアとなります。

一方、ACTは英語、数学、 読解、科学の4科目で成り立っています。各科目は0〜36点で評価され、4科目の平均点がACTのスコア(コンポ ジットスコア)となります。ACTのスーパースコアリング は、ACTを複数回受験した場合に、各科目の最高点を選び、その平均をテストスコアとする方法です。

例えば、ACTを3回受け、 表のような点数だったとしま す。各科目の最高点の平均は、(22+23+23+22)÷4=22.5で、小数点以下を四捨五入した23が 、ACTのスーパースコアです。

テストを数回受けると、英語は今回の方が良く、数学は 前回の方が良いということはよくあります。このようなとき、スーパースコアリングによって、スコアを高く見せられます。

スーパースコアリングの生まれた背景

実は、スーパースコアリングは、学生のためではなく 、他校とランキング争いをする大学の都合で生まれたものです。ランキングを上げるため、大学はあらゆる努力を惜しみせん。学生のSATやACTのスコアはランキングに影響します。単純にテストスコアの高い学生を合格させれば良いと思うかもしれませんが、
大学のアドミッションにおいて、テストスコアはあくまでも評価指標のひとつに過ぎず、高校の成績やエッセイなどによる人物評価の方が重要です。つまり、大学はテストスコアだけを重視して学生を選びたいわけではないけれども、外部には入学する学生のテスト スコアを高く見せたいのです。そこで、編み出された手法がスーパースコアリングです。

ACTの新システム

2019年時点で、アメリカの90%以上の大学がSATのスーパースコアリングを採用していると言われています。 ACTのスーパースコアリングの普及率は70%程度ですが、ACTは20年秋から新システムを導入し、スーパースコアリングの完全普及をもくろんでいます。新システムでは、4科目のうち、点数を上げたい科目だけを選んで受験できるようになり、スーパースコアだけを大学に提出することが可能となります。

ACTの新システムはSATとの激しいシェア争いの産物であり、スーパースコア偏重に警鐘を鳴らす専門家も少なくありません。スーパースコアは、経済的にも何度もテストを受けるのが困難な学生にとって不利な制度です。なにより、大学の入学審査でさほど重要視されていないSATやACTのスコアを少しでも上げるために時間と労力を費やすのでは、本末転倒です。

また、入学審査の際にテストスコアの提出を義務付けない「テストオプショナル」の大学が、名門大学で増えてきており、その傾向はさらに加速することも考えられます。

高校の学習の成果を示すのはテストスコアではなく、高校の成績です。高校で好成績を修めた学生にとって、ACTやSATのスコアが合否に影響することはほとんどありません。また、ACTやSATのスコアがどれほど良くても、低い高校の成績にとって代わることもできません。テスト業者に踊らされることなく、日々の学習を優先して地道な努力を続けることが、最良の進学準備となります。

 

(2019年11月16日号掲載)

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