これからの大学アドミッションテスト

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アメリカの大学のアドミッションは、パンデミックの影響で変化が加速しています。その影響を大きく受けているのがSATとACTです。今回は、SATの今後についてお話しします。

SAT Subject Testの廃止

カレッジボードは、2021年1月にSAT Subject Testを廃止すると発表しました。カレッジボードが実施するアドミッションテストは、SATとSAT Subject Testがあります。SATは、以前はSAT Reasoning Testと呼ばれていた英語と数学のテストで、昨年度まで多くの大学がスコアの提出を要求していました。これに対して、SAT Subject Testは、科目選択制のテストです。数学、科学、歴史などの主要科目や、スペイン語や中国語、日本語などの言語科目など、計20科目あります。アイビーリーグや名門リベラルアーツカレッジなど、難関大学の受験にはSAT Subject Testのスコアを3科目提出する必要があるというのがかつての常識でした。しかし、2000年以降SAT Subject Testの要件が徐々に緩和され、10年には3科目必要な大学はなくなりました。そして、UC(カリフォルニア大学群)が11年にSAT Subject Test2科目の要件を撤廃したのを境に、受験者は一気に減少しました。また、SATのエッセイ(小論文)の廃止も、併せて発表されました。SATは、もともと英語・数学・エッセイの3科目でしたが、16年のリニューアルの際に、エッセイがオプショナルとなりました。今回の措置で、SATのエッセイは任意でも受けられなくなります。

受験生および大学への影響

SAT Subject Testの廃止を残念に思う受験生は少ないはずです。Subject Testで高得点が狙える教科は、学校でも好成績を残せている場合が多いので、Subject Testの必要性は高くありません。AP(アドバンスト・プレイスメント)のコースを履修している生徒は、年度末にAPテストを受けます。APテストの成績は、同教科のSubject Testの点数よりも重視されます。テスト廃止により、必要かどうかよく分からないテストに悩まされることがなくなりました。また、SATのエッセイは、もともと大学のアドミッションでほとんど利用されていませんでした。これも、念のために受ける生徒が多かったので、その無駄が省かれるのは喜ばしいことです。大学への影響も微々たるものです。20年3月にMITがSAT Subject Testの要件を撤廃した時点で、アメリカの大学でSAT Subject Testの受験を義務付ける大学はなくなりました。SAT Subject Testに問題があるわけではありませんが、テストを使わずに受験生の評価ができるのであれば、その負担を生徒に強いる理由はありません。

SATとカレッジボードの未来

20-21年度のアドミッションでは、ほぼ全ての大学がSATやACTのスコアの提出を必須条件から外しました。パンデミックによる一時的な措置でしたが、テストスコアがなくても受験生を評価できると、今年のアドミッションで大学が確認できたため、パンデミックが収束しても、元に戻るとは考えにくいです。SAT Subject Testは、UCが採用を止めて10年で消滅しました。では、SATもUCが採用を止めて10年後になくなるでしょうか? 大学関係者の中には、SATはあと3年も持たないという意見が多いようです。遅かれ早かれ消えていくことに間違いはないでしょう。SATがなくなっても、カレッジボードが消滅することはないと思われます。カレッジボードにとってSATは中核事業ではありますが、他にもさまざまなサービスを提供しています。中でも、APは年々受験者数が増え、海外にも広がるなど、その価値は増しています。高校生がSATを受けると、いろいろな教育機関からダイレクトメールなどが届きます。テストを受けた生徒の個人情報を、カレッジボードが一人47セントで教育機関に提供しているからです。これも、カレッジボードにとって重要な収入源です。SATがなくなれば、カレッジボードの役割もおのずと変わるでしょう。カレッジボードが大学進学を目指す高校生にとって、本当に役に立つサービスを提供していく団体として発展することを願っています。

(2021年3月16日号掲載)

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