2017年に予測されるアドミッションの進化

昨年は、SATが新テストに生まれ変わり、新出願システムが導入されるなど、米国の大学入試制度において大きな変革がスタートした年となりました。2017年は、その取り組みが各大学において本格稼働し、アドミッションが進化を遂げる年となりそうです。新政権発足など不確定要素も少なくありませんが、米国の教育分野において予測される今年の動向をまとめてみました。

①将来性評価の進化

米国の大学は、入学者選抜において学生の将来性を重視しますが、全米の難関大学が「コアリション」という新しいアドミッション・システムを採用し、入学者選抜における将来性評価が新たなステージに進みました。現状のアドミッションでは、大学は限られた情報を基に短期間で受験生を評価しなければならないので、学生の将来性を的確に判断しにくいのが難点です。これに対して、コアリションでは、アドミッションが長期にわたって学生の評価を行うことが可能となります。
 コアリション・アプリケーションの採用を決めた95校のうち、半数近い46校が16~17年度のアドミッションに準備が間に合わず使用できませんでしたが、17~18年度では全ての大学でコアリションでアプライできるようになります。

②低所得者層支援の進化

全米の大学生の2割が第一世代大学生(両親が大卒の学位を有しない学生)で、その半数は低所得者層と言われています。低所得や低学歴の家庭で育った学生は、学習や進学準備について支援が受けにくいため、高い潜在能力を持ちながら、その能力を十分発揮できず満足のいく進学ができない場合も数多くあります。そのような不利な状況に置かれた学生に適切な進学の機会を与えることは、貧困から抜け出すきっかけを提供することにもなるため、米国の大学にとって重要な使命です。学生はコアリションのシステムを通じてアドミッション・カウンセラーなどから無料でアドバイスを受けることにより、大きく成長できます。
 
低所得者層の進学を支援する新たなサービスも生まれました。慈善団体ブルームバーグ・フィランソロピーズがAmericanTalentInitiativeというプログラムを立ち上げ、25年までに5万人の低所得学生に質の高い大学教育を受けさせることを目指しています。トランプ新政権になっても、低所得者層の進学を支援を加速する流れに変化はなさそうです。

③テスト・オプショナルの拡大

昨年3月にSATがリニューアルされ、高校の教育課程に沿った内容で学生の到達度を測るテストに変わりました。受験生からは、以前のテストよりも実力が発揮しやすいと評価されていますが、現時点では大学のアドミッションからの評価にはあまり影響はないようです。
 
ACTやSATなどのアドミッション・テストは、大学にとって、学生が大学で学習するのに十分な基礎学力があるかを判断するツールとしての利用価値はあります。とはいえ、学力評価の基本は高校の成績であり、高校で十分な成績を収めている学生にとって、あえてテストの結果で示すべきものはあまりありません。大学のアドミッションも、高校でしっかり学習できている学生のテストスコアに価値を見出さなくなります。
 
アドミッションにおいて人物評価をより重視するという傾向が強まる中、ACTやSATのスコア提出を任意とするテスト・オプショナルという制度を導入する大学が増えてきています。例えば、オースティン・カレッジも17年度から新たにテスト・オプショナルを導入する予定で、この流れは今後も続くことが予想されます。

④ファイナンシャル・エイド

米国の大学にファイナンシャル・エイドを得て進学を希望する学生が家庭の経済状況などを登録するFAFSA(FreeApplicationforFederalStudentAid)の登録開始時期が昨年から3カ月早まりました。これにより、FAFSAの登録時期が大学出願後から出願前に変わるため、受験生はFAFSA上で自分の経済的ニーズの状況を確認してからアプライする大学を決められるようになりました。
 16~17年度のアドミッションでは大学・受験生ともに試行錯誤の状態でしたが、17~18年度は双方がこのFAFSAの変更をうまく役立てられるようになるはずです。学生が家庭の経済状況を考慮して大学を受けるようになれば、より自分に合った大学選びが進むと考えられます。
 
(2017年1月16日号掲載)

「米国大学進学ガイダンス」のコンテンツ