コロナ禍におけるアスリート学生の進学

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高校スポーツの現状

新型コロナウイルスのパンデミックは、アスリートとして大学進学を目指す高校生にも影響を及ぼしています。全米でアスリートとして活動している高校生は約800万人、その中でNCAA(全米大学体育協会)のアスリートになれるのは約46万人、わずか6%です。この6%に入るため、高校生アスリートは日々トレーニングを重ね、試合で結果を残し、自分の実力を大学に示します。2020年春のシーズンは途中で打ち切りとなり、バスケットボールや野球、陸上などの春スポーツでは、満足のいく成果が挙げられずにシーズンを終えることになったアスリートは少なくありません。
新型コロナウイルスの影響は、秋のスポーツにも及び、カリフォルニア州をはじめ、アリゾナ州、ニューヨーク州、テキサス州、オレゴン州、ワシントン州など、多くの州が開始延期を決めています。秋のスポーツには、フットボールやバレーボール、クロスカントリーなど が含まれます。例年であれば、夏休みは、高校生を対象としたキャンプが各地で開催され、高校生アスリートにとっては大学のコーチに自分を売り込む絶好の機会が得られます。しかし、今年はほとんどのキャンプが中止となりました。
さらに、秋のスポーツが延期になり、春にずれ込むことで、アスリートは難しい選択を迫られることになります。秋のフットボールに参加するアスリートは、春の陸上や野球、バスケットボールにも参加する場合が多いのですが、重なった場合、いずれかを諦めなければなりません。また、サッカーとラクロスなど、複数の競技で一つのフィールドを共有するスポーツでは、練習や試合の場所の確保も容易ではありません。

大学コーチが受ける影響

高校スポーツの延期やキャンプの中止は、学生アスリートを評価する大学のコーチにとっても痛手です。NCAAは、公平なリクルーティング活動とアスリートの負担軽減を目的として、1年間をDead、Quiet、Evaluation、Contactの4つのピリオドに分けて大学のコーチのリクルーティング活動を制限しています。NCAAは、新型コロナウイルス対応の一環としてリクルーティングのDead Periodの間は、コーチから高校生に連絡を取ったり、高校生の練習を見学したりすることができません。11年生以降に大きく成長する高校生は少なくなく、そのようなアスリートを評価する機会が限られるのは、リクルーティング活動への大きな制約となります。
数多くの高校生の中からリクルートするアスリートを選び、奨学金を提示し、アスリートからコミットメントを受け、 NLI(National Letter of Intent)に署名してもらい、大学に提出するのがリクルーティング活動の流れです。多くの場合、20年11月11日からNLIへの署名が可能となります。20年は、限られたリソースと期間で目標とするアスリートを人数分確保することになり、大学のコーチがいかに苦労しているかは容易に推察できます。

競技削減やチームの閉鎖

新型コロナウイルスの影響は他にもあります。スタンフォード大学は、36の大学を代表する競技のうち、11の競技を2 0-21年度で閉鎖すると発表しました。240人の学生と22人のコーチが活躍の場を奪われることになります。対象はフェンシングや漕艇、シンクロナイズドスイミング、レスリングなどで、卒業生は4000人以上、これまで27個のオリンピックメダルを獲得しています。オリンピックでは毎回最も多くの選手を輩出する大学として知られているスタンフォード大学が、新型コロナウイルス対応のコスト削減で、これだけ多くのオリンピック競技の閉鎖に追い込まれたことは極めて衝撃的です。
他にも上位リーグDivision-I で18 の大学が競技を削減するなど、アスリートとしての活躍を目指す高校生は受難の時代を迎えることになります。とは言え、アスリートとしての進学を諦めることはありません。学業とスポーツの両立は大変ですが、その経験を通じて身に付けた力は、一生自分の支えとなるでしょう。

(2020年8月16日号掲載)

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