出願エッセイでAIは使えるか(2)英語が母語ではない場合

帰国GO.com

(2026年1月号掲載)

大学出願エッセイを仕上げる際に、AIは「共同執筆者」ではなく「編集アシスタント」として使うことを前回お話ししました。特に英語が母語でない学生にとって、文法の確認や語ごい彙の手直しをAIに助けてもらうのは合理的な方法です。エッセイを日本語で書いた方が、自分らしさがきちんと表現できる学生も少なくないと思います。しかし、日本語で書いたエッセイをAIで翻訳して提出する際には、少し注意が必要です。

AIによる英語翻訳は許容される

学生本人が、自分の考えや経験、感情などを自分の言葉(日本語)で書き、それを生成AIに英語へ翻訳してもらう行為は許容されます。倫理的にも問題はありません。

翻訳でAIを使うことは、「言語的な支援」であり、「内容を代筆させること」ではないため、適切な範囲の利用と考えられます。ただし、注意すべき点がいくつかあります。

① AIが内容を改変していないか確認
AI翻訳は、原文のニュアンスを変えてしまうことがあります。特に感情的な表現や文化的なニュアンスを英語できちんと伝えることは、生成AIにとって簡単なことではありません。AIが不自然なほどきれいにまとめてしまうことも、多々あります。そこで、翻訳された英文を自分で確認し、自分が本当に言いたかったことが表現されているか、見直すことが大切です。

② 完全にAI任せにしない
AIが翻訳した文章をそのまま提出するのではなく、自分で語彙や文体を調整してください。AI翻訳のままだと、他の出願者の文章と似た文体になり、「AI的な文章」として、AI Detectorに検出されるリスクがあります。あくまでも、AIの提案は「下書き」で、最終的に自分の言葉で仕上げることをお勧めします。

③ AI利用の申告を回答
近年、一部の大学では、出願書類作成にAIを使用したか、出願フォームの中で質問される場合があります。この質問には正直に答えてください。もし、翻訳目的で使っただけであれば、“Used for translation assistance only.”と申告すれば問題ありません。

問題となるケース

生成AIの以下のような使用方法は、不適切であり問題視されます。

・ 日本語でメモ程度しか書かず、AIに「自然な英語に仕上げて」と指示し、AIがほとんどの英文を生成した。
・ 翻訳だけでなく、「もっと感動的に」「大学が好みそうに」など、内容やストーリーの改変をAIに依頼した。
・ 出願者の体験や表現が失われ、AIが作った理想的な物語になっている。

このような方法でエッセイを仕上げた場合は、AIによるゴーストライティングと見なされる可能性が高いです。本人の声が失われた作文で、誠実性に欠けるとアドミッションに判断されても仕方ありません。

エッセイは自分を表現する場所

大学出願エッセイは、単なる作文ではありません。成績や試験の点数だけでは見えない受験生の人間性や価値観、思考の深さを伝えるための大切な要素です。どんな経験をし、そこから何を学び、どのように成長したのか——大学はその「語り」を通して、志願者の内面を知ろうとしています。

したがって、エッセイは「本人の声」であることが前提です。いくら滑らかで文法的に正しい文章であっても、そこに本人の経験や感情が込められていなければ、読み手には伝わりません。まずは自分の言葉でエッセイをきちんと書き上げてください。実際、多くの大学のアドミッション担当者は「完成度の高いAIの文章より、多少未熟でも人間味のある文章を好む」と話しています。

AIは「鏡」として活用する

エッセイを書く過程には、自己分析や内省といった重要な学びが含まれています。AIにそのプロセスを委ねてしまえば、そうした成長の機会を逃してしまう恐れがあります。

AIに丸ごと任せて文章を作ってもらうのではなく、AIを「鏡」として活用し、自分の考えや感情を映し出す手段として使うことが大切です。AIの出力を参考にしながら、自分の言葉で練り直していく。そうした使い方であれば、AIはむしろ創造的な思考を引き出す良きパートナーになり得ます。

(2026年1月号掲載)

ライトハウスCA版1月号の電子版はこちらから
ライトハウスCA版1月号の目次はこちらから

海外に暮らす学生のための「日本の大学への進学&留学ガイド」サイト

「アメリカ大学進学ガイダンス」のコンテンツ