APテストのオンライン化

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(2025年7月号掲載)

近年、SATやACTがオンライン化されるなど、鉛筆でマークシートを塗りつぶす作業は過去のものになりつつあります。AP(アドバンスト・プレイスメント)テストも、2025年からオンラインで実施されるようになり、5月のAPテストでは、36のAP科目のうち28科目で紙の試験を廃止しました。

APオンラインテストの概要

APプログラムは、高校在学中に、大学のイントロレベルのカリキュラムが学べるプログラムです。IB(国際バカロレア)と同様に、学習への高い意欲を示す高校生を対象として、高校の科目として提供されます。全米の公立高校に通う生徒の80%は、学内で少なくとも5科目以上のAPプログラムが履修可能です。APプログラムは、SATで知られているアメリカの非営利団体「カレッジボード」によって運営されています。

APプログラムの履修者は、年度末(5月初旬)にAPテストを受け、5段階(5が最高)で評価されます。

科目によって、完全にオンラインで受験する方法と、オンラインと手書きの回答を組み合わせて受験する方法に分かれます。例えば、アメリカ史や英語(言語と作文)などのエッセイベースの試験は完全にオンラインで実施されました。また、生物学や統計などの計算を要するテストは、オンラインの多肢選択式と紙の自由記述式の組み合わせで実施されました。音声ファイルを使用する外国語と音楽のテストは、紙ベースのテストが引き続き行われています。

カレッジボードはパンデミックの影響で、全米の多く地域でSATのテストが実施できなくなり、その結果、大学のテスト離れが加速する事態を招きました。カレッジボードはパンデミックを機に、テストのデジタル化に取り組み、22年から一部のAP科目で試験のオンライン化を始めました。

不正行為対策もデジタル化を進めている理由のひとつです。24年には、不正行為の疑いで例年よりも多くの生徒の成績が取り消されました。テストのデジタル化により、コンテンツの盗難や事前配布のリスクが軽減されます。これにより、より公平な試験環境が確保されます。APテストは、SATと同じくBluebookというテストのプラットフォームを利用し、カレッジボードはこのシステムを通じてセキュリティーの強化に取り組んでいます。

オンライン化による生徒への影響

APテストのオンライン化を歓迎する生徒は、少なくありません。タイピングに慣れている生徒は、自由記述式問題の回答に要する時間が削減されます。体力的な負担も軽減されて、より深く考えを表現できる可能性があります。また、記述式の解答の編集や修正も、デジタル化によって容易になります。

Bluebookには、テキストをハイライトしたり、選択肢を減らしたり、コメントを付けたりできる受験者支援ツールが組み込まれ、効率的に問題を解くことが可能となります。また、音声の読み上げ機能やフォントサイズの調整機能を導入することで、障害のある生徒のアクセシビリティーの向上も期待できます。

一方で、スクリーンで読む場合、紙で読む場合に比べて読解力がわずかに低下する可能性があると言われています。また、数時間スクリーンを見つめ続けると、眼精疲労、頭痛、集中力の低下につながり、成績に影響を及ぼす可能性も指摘されています。とはいえ、SATやACTがオンライン化されたときも、ネガティブな反応はあまりありませんでした。昨今の高校生はデジタルインターフェースに慣れているため、デジタルの試験の方が、親しみやすいのかもしれません。

とはいえ、紙のテストとの違いに戸惑う可能性は否定できません。コンピューター上での作文は、加筆修正が容易にできるため、一部の生徒は、必要以上に手直しをしてしまうことがあります。コンテンツの作成よりも編集に時間を費やすのは、本末転倒です。オンラインでのペース配分は、紙でのペース配分とは異なるので、慣れも必要です。

テストで好成績を目指す上で、オンライン形式に慣れ、ツールを理解することは不可欠です。カレッジボードでは、テストプレビューや模擬試験などを提供しています。このようなリソースを活用し、Bluebookのテストプラットフォームを使いこなせるようになってからテストを受けることをお勧めします。

(2025年7月号掲載)

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