APコースの履修と活用方法

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(2025年11月号掲載)

アメリカの高校に進学すると、多くの生徒はAP(アドバンスト・プレイスメント・プログラム)のコースを履修するかどうかの選択に迫られます。APは、高校在学中に大学のイントロレベルのカリキュラムが学べる早期履修プログラムです。SATで知られるアメリカの非営利団体カレッジボードが運営しています。IB(国際バカロレア)と同様、学習への高い意欲を示す高校生を対象とした、高度で世界的に認知・評価されているプログラムです。

APでは、英語の読解・作文、数学の微積分、物理や世界史など、42科目があります。採用する高校は年々増え、2024年度は300万人以上の高校生がAPのコースを履修しました。

入学審査における価値

アメリカの高校生がAPを履修する目的の一つに、大学進学を有利に進めることが挙げられます。APでは、高校在学中に大学レベルの学習ができるため、大学で必要となるさまざまなスキルを身に付けられます。そのため、アメリカの大学はAPにチャレンジする高校生を、入学審査で高く評価します。

大学が受験生の学力を横並びで評価できることもAPのメリットです。APコースの履修者は、年度末(5月初旬)にAPテストを受け、5段階(5が最高)で評価されます。各高校はそれぞれの基準で成績(GPA)を決めるため、高校の成績の単純比較は難しいですが、APは全員が同じテストを受けるので、客観的な評価が可能です。

また、APはヨーロッパの大学でも評価されます。例えば、イギリスやオランダの3年制大学は、大学レベルの一般教養をある程度学んでいることが受験資格となり、高校卒業後すぐに進学することは難しいのですが、APの三つのコースで3以上の成績を修めると、受験資格を得られます。

大学教育における価値

APで一定の成績を修めると、アメリカの大学で単位として認定されます。認定方法は大学により異なります。APテスト評価が3以上だと単位として認定される可能性がありますが、学力評価を重視する大学では4以上を要求する場合が多く、中には5以外の成績は単位として認めない大学もあります。

履修したAPコースが大学の単位として認定されなくても、成績は履修内容の評価に活用されます。つまり、APコースで履修したのと同等レベルのクラスを大学で履修する必要は無くなり、上位クラスから履修を始めることが可能となります。この場合、大学で履修する単位数は減りませんが、自分が取りたいクラスの履修に時間を割けるため、学生にとって価値は大きいです。

一般的に、アメリカの州立大学はAPの単位認定に積極的です。その背景には、予算の制約で一般教養科目に十分な教員を配置できない州立大学特有の事情があります。APでなるべく多く単位認定をすることで、一般教養科目の学生数を抑えることは、州立大学側に大きなメリットです。

なお、大学の学費を抑えるため、高校でAPクラスを取りまくり、大学の単位として数多く認定してもらうことで、大学卒業までの期間を短くする戦略を取る学生もいます。ただし、この戦略が機能するのは州立大学に進学した場合だけです。私立大学でのAPコースの単位認定は限定的です。アイビーリーグの大学やMIT、Caltechなどの難関大学は、APコースを履修内容の評価に使いますが単位認定はしません。Pomona Collegeが単位認定するAPは最大2クラスです。

APコースの履修方法

APで良い結果を残せば進学で有利になることは間違いありません。しかし、受験者数の多い読解・作文やアメリカ史で、4以上の成績を収めているテスト受験者は3割にも満たないのが実情です。大学レベルだから、成績が良くなくても仕方がないという考え方は通用しません。せっかく履修しても、結果を残せなければ入学審査での評価にはつながらず、また大学の単位としても認定されません。

APは得意科目や将来の進路に役立つコースを優先的に取ることをお薦めします。余裕を持って取り組める履修数に抑えるべきです。そして、5月のAPテストで4以上が取れるよう、計画的に日々の学習に取り組みましょう。

(2025年11月号掲載)

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