18歳人口減少に伴う、日米の大学の生き残り戦

大学フェア2026秋対面

(2026年10月号掲載)

18歳人口の減少は、日本だけの問題ではありません。アメリカでも大学進学の中心となる18歳前後の人口が今後減少していくと予測されています。

18歳人口の減少で大学同士の競争が激化

Western Interstate Commission for Higher Educationのリサーチによると、アメリカの18歳の高校卒業者数は2025年に約390万人でピークに達した後、15年間にわたって減少する見込みです。41年までには、大学進学適齢期の新入生数が13%減少すると予測されています。大学進学者が増え続けることを前提としてきたアメリカの高等教育市場にも、大きな転換期が訪れようとしています。

18歳人口が減少することによる最も大きな変化は、大学間の学生獲得競争が激しくなることです。これまでのアメリカの大学選抜では、学生が「どの大学に合格できるか」を考える一方、大学側も「どの学生を入学させたいか」を考えてきました。18歳人口そのものが減少すれば、大学にとっては、優秀な学生を選抜するだけではなく、「どうすれば自分たちの大学を選んでもらえるのか」が重要になります。

特に影響を受けるのは、地域の中堅私立大学や小規模なリベラルアーツ・カレッジでしょう。こうした大学は、メリットスカラシップ(成績などに基づく奨学金)の拡充、入学審査の柔軟化、キャンパス訪問や合格者向けイベントの強化など、学生を獲得するための取り組みがさらに活発になると考えられます。

一方で、Harvard、Stanford、MITなど、世界的なブランド力のある大学は、国内の18歳人口が減少しても、海外から優秀な学生を集められます。また、医学、工学、コンピューターサイエンス、起業教育など、明確な強みを持つ大学も比較的有利でしょう。つまり、人口減少は大学全体の問題であると同時に、大学間の二極化を進める要因にもなります。

さらに注目したいのが価値の見直しです。アメリカの大学は学費が高く、学生や家庭は「その大学に何を支払うのか」を厳しく考えるようになっています。大学側も、ランキングだけでなく、就職率、卒業生の平均給与、インターンシップ、企業との連携、キャリア支援など、学生に提供できる価値をより具体的に示す必要があります。

入り口重視の日本と出口重視のアメリカ

日本では18歳人口の減少がアメリカより先に進んできました。日本では大学側が学生獲得のための入り口に重点を置く傾向があり、すでに多くの大学が学生募集に力を入れ、総合型選抜や学校推薦型選抜を拡大してきました。さらに地方の私立大学を中心に、学部の新設・改組、奨学金制度の充実、就職支援の強化も進められています。

対してアメリカでは、自分たちはどのような教育を提供しているかに加え、「卒業後にどのような価値を生み出すのか」をより積極的に発信しています。さらにアメリカの大学では、留学生、編入生、社会人など、幅広い層を取り込む動きも活発化しています。

競争が進んだ大学を前に高校生が考えるべきこと

大学にとって18歳人口の減少は、大学そのものの存在意義を問い直す機会でもあります。今後は、経営基盤の弱い小規模大学が他大学と統合したり、学部・専攻を大幅に改編したり、オンライン教育を活用したりするケースも増えるでしょう。

一方で、独自の教育モデルや強いブランドを持つ大学には学生が集まる可能性があります。生き残る大学とは、変化する社会の中で「なぜこの大学で学ぶ価値があるのか」を明確に示し、それを学生に伝えられる大学です。

そして、大学間の競争が激しくなれば、学生はより多くの選択肢や奨学金、教育上のメリットを得られる可能性が高まります。これからの大学選びでは、「自分が大学に選ばれる」という発想だけでなく、「自分にとって最も価値のある大学を選ぶ」という発想がますます重要になります。

これからの高校生は「この大学で何を学び、何を身に付け、卒業後に何を実現したいのか」という視点から進学先を考えることが、これまで以上に求められるでしょう。

(2026年10月号掲載)

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