大学進学101③ アメリカのアドミッション制度

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アメリカの大学のアドミッション(入学審査)は、基本的に書類審査です。受験生が記入したアプリケーションフォーム、高校の成績表やACT、SATなどのテストスコア、推薦状などの提出書類を基に総合的に評価します。近年は、出願をオンラインで受け付けるのが一般的です。

将来性重視のアメリカの大学アドミッション

日本とアメリカでは、アドミッションの方法が大きく異なります。この違いは、求められる学生の違いに起因します。日本の大学は「現在優秀な学生」を評価しますが、アメリカの大学は「将来伸びる学生」を求めています。つまり、現時点の成績だけではなく、将来性を考慮して学生を評価するのが、アメリカのアドミッションの特徴です。

アメリカの大学は、一人一人の学生の潜在能力を引き出し、開花させる教育に注力しています。大学進学後も日々意欲的に取り組み、卒業後は多方面で活躍する人材を育成することが、アメリカの大学の使命です。卒業生の活躍は、大学の長期的な繁栄にもつながります。社会で活躍する卒業生が増えれば、大学の名声は高まり、寄付金も増え、大学の経営基盤がより強固なものになるからです。

 

点数評価から人物評価へ

アメリカの大学のアドミッションの特徴を一言で表すと、ホリスティック(全体的)アプローチです。アメリカの大学では、学力だけでなく、人間性も重視します。今までの人生をどのように生きてきて、どのように成長してきたのかを全体的に評価することで、将来性を見極めます。高校の成績が重要なのは言うまでもありませんが、成績以外の面もきちんと評価しようという傾向は、年々高まっているように感じられます。

人物評価の方法として最も重要なのがエッセイです。多くの大学は、アプリケーションフォームの中で、エッセイを書かせます。したがって、受験生にはエッセイを通じて自分の成長をどのように大学に伝えていくかという戦略が重要となります。

アプライする全ての大学に、それぞれ異なるエッセイを書く必要はありません。ひとつの出願システムで複数の大学にアプライできる共通出願システムを採用する大学が多く、同じ出願システムを採用する大学には共通のエッセイを提出できます。最も多くの大学に採用されている出願システムが「コモン・アプリケーション」です。

コモン・アプリケーションは、非営利団体によって運営されている大学のアプリケーションのサービスです。コモン・アプリケーションの利用で受験者数の増加が見込まれるため、年々採用する大学が増え、2018〜19年度は全米の約800校で利用されました。

 

アドミッションの双方向化

アメリカの大学では、学生とアドミッション担当者との双方向のコミュニケーションを重視します。受験生と担当者が、アプリケーションの提出前から連絡を取り合うことは、珍しくありません。学生がキャンパスツアーに参加したり、大学に質問のメールを送ったりすれば、コミュニケーションが始まります。

アドミッション担当者は、より早い時期からコミュニケーションを行うことを望んでいます。アプリケーションだけで受験生の将来性を見極めるのは難しい作業ですが、時間をかけてコミュニケーションを取ることで、学生の成長の過程が把握でき、評価がしやすくなるからです。

双方向のコミュニケーションは、受験生にとってもメリットがあります。事前のコミュニケーションを行わずに受験する学生よりも、アドミッションで有利になるだけでなく、時間をかけて大学を深く知ることにより、大学選択の失敗を未然に防げます。

 

非永住学生の大学アドミッション

親の駐在などで一時的にアメリカに滞在している学生は、アメリカの大学進学は不利と考えている人もいますが、そんなことはありません。多様性を重視するアメリカの大学は、海外からの留学生を積極的に受け入れています。非永住学生は、外国人留学生と同等のカテゴリーとする大学が多いため、アメリカ人や永住学生と比べて、入学審査で有利になる場合が多いのです。

日本から来て日が浅い学生は、英語力不足により高校の成績やSATなどのアドミッションテストの点数が低くなる場合もありますが、その点もアドミッションで考慮されます。学力と英語力は分けて評価されるので、日本で通った学校の成績も学力の評価として利用できます。
 
 (2019年3月16日号掲載)

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