(2026年10月号掲載)
喝采の向こうに、また新しい夢
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2026年4月24日に84歳になったバーブラ・ストライサンドが目下情熱を注いでいるのは絵本書き。題名は「And by the Way…」、2027年3月30日に発売だそう。
「3人の孫にしょっちゅう本を読んでいて、彼らの喜ぶ顔がうれしくて、じゃあ自分で絵本を書いてみようと一念発起したの。子どもたちが自分を発見し、冒険を夢見て、愛を知る、そういう人間的に貴重な経験をカラフルに描いたつもり。題名は、私が何かというと使う言い回しなのよ」。
EGOTと呼ばれる、エミー賞、グラミー賞、オスカー賞、トニー賞全てを受賞した人にして、なんとお稲荷さんが大好きだと告白したバーブラ(あの皮の味がいいのよね!とのこと)。初めて会ったのは『Nuts(ナッツ)』(1987)という映画のインタビューだった。薄暗いレストランの中で写真は顔の左側のみ、テーブルには香りの良いガーデニア(クチナシ)の花を置いて、マイスペースをしっかりと整え、頭が飛び抜けて良い人ゆえ会話はウィッティーに、楽しく進行した。
その後、自分で監督・製作・主演した『The Prince of Tides(サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方)』(1991)と『The Mirror Has Two Faces(マンハッタン・ラプソディ)』(1996)でも会見。前者でニック・ノルティ、後者ではジェフ・ブリッジスを相手役に選んで、自分好みの男優とのラブシーンをしっかりと企む、パワフルな製作者ならではのアドバンテージを楽しむ様子が見てとれた。おまけにほとんど同じタイプの(しかし先の2人ほど有名でない)ジェームズ・ブローリンと結婚してしまうという、うらやましい限りの生き方である。
彼女のアクロバティックな歌唱法を好きな人はとことん好きで、嫌いな人も少なくはない。だが、貧困家庭に育った少女の頃から舞台に立ち、どこにでも寝られるようコット(折り畳み式ベッド)を抱えてジプシーのような生活をして、歌の才能だけでここまで成功してきたのである。もともとは普通のBarbara(バーバラ)という名前だったのを、嫌いだからとスペルを変えてしまったのも、彼女独特の美意識なのだろう。ちなみにニール・ダイアモンドとは幼なじみで、共に励まし合って成長したという。
トレードマークであるユダヤ系の鼻は、一般人でもほとんどの場合、若いうちに整形してしまうのだが、彼女は頑として誇り高く維持し、それなりの美しささえ演出してしまう。持てる才能と努力、忍耐で大きな成功を遂げたバーブラ・ストライサンドのパワーに乾杯である。

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。










