(2023年7月号掲載)
ハリウッドの若手演技派トップの一人
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「自分のイメージなど全く気にしていない。それより、僕がどれほど精魂傾けて俳優としての仕事にあたっているかを信用してくれる人々たちが、僕にとって最も大事だと思っている。今まで休んだことも台詞を忘れたこともないし、悪口を言われたこともない。これからもずっと俳優としての基本姿勢を貫いていきたいね」と毅然として話すマイルズ・テラーは、今やハリウッドの若手演技派トップの一人と言えよう。
『Whiplash(セッション)』(2014)でコーチにしごかれるドラマーの若者役から、メガヒット作『Top Gun: Maverick(トップガン マーヴェリック)』(2022)で親分のトム・クルーズに反抗したりすねたりするパイロットの役、そしてTVシリーズ『The Offer(ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男)』(2022)のマフィアの脅しにめげないプロデューサー役など、ハリウッドでは群を抜いて骨太でヘビー級の重さを持った俳優にのし上がった。
初めてマイルズに会ったのは『The Spectacular Now(いま、輝くときに)』(2013)の時。当時26歳、的確な言葉を選んで正確に話し、それでいて真面目一辺倒でなく、遊びを楽しむ余裕も感じられる好青年だった。
「ほら、僕の顔と首に傷跡があるでしょう。大学生時代の大きな自動車事故のせいなんだ。時速80マイルでコントロールを失った車は8回転もし、助手席の僕は放り出された。一命は取り留めたものの大けがを負って…。それでも当時の僕は舞台に集中していて、傷跡はあまり気にならなかった。ただ、映画のオーディションで傷跡が役にそぐわないと断られるケースが続いたから、傷を目立たなくする手術も試したりした。そんな時、『Rabbit Hole(ラビット・ホール)』(2010)のオーディションに行き、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督に出会って。そこで言われた『ああ、君の傷跡は良いね。人物の歴史とパーソナリティーを感じさせるもの』という一言で、僕はこのまま傷を持った俳優として生きていこうと決心した。20歳の時の事故のおかげで普通の若者が通らない痛みや屈辱を味わったのは、いい俳優になるためのステップだったと思う。自然で信用できそうな、適当にハンサムな僕の顔に陰影が加わったことで、退屈な主役タイプでない面白い男を演じられて、役幅が広がったと希望が湧いてきたんだ」。
次はアクション満載のラブストーリー映画『The Gorge(ザ・ゴージ)』で、今や人気トップ女優のアニャ・テイラー=ジョイと共演。面白そうだ。

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。










