(2026年5月号掲載)
ラテンが生んだ生粋のパフォーマー
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『Frankenstein(フランケンシュタイン)』(2025)で巨大なクリーチャーの創造者となるフランケンシュタイン博士を激演したオスカー・アイザックはグアテマラ生まれ。6カ月の赤ん坊の時にアメリカへ移住したものの、ラテンの情熱はしっかりとオスカーの心身に根付いている。
フランケンシュタイン博士の役作りについて話してもらおう。
「この男は憤りをエネルギーにして生きている。ほとんど中毒状態で、クリーチャーの創造につかれたように体当たりしていて、いざ創造人間が完成すると怒涛のような憎悪にとらわれる。デル・トロ監督とは同じ中南米出身だから、常時スペイン語で話し合い、ラテンの気風を役作りに取り入れたんだよ。物語は残酷だが、現場は和気あいあいで、今までのどの撮影より楽しかった」。
オスカーの父親はキューバ人で呼吸器科の医師だったが、同時に映画が大好きで、頻繁にビデオを借りて息子たちと鑑賞した。オスカーは幼稚園時代から人前でのパフォーマンスを楽しみ、カラテキッドのふりをしてはミスターミヤギの出現を待ったりした。10歳頃にはホームムービーを自分で書いて、監督、主演も。教室であまりに騒がしいので机の周りにウインドシールドみたいなビニールを張り巡らされたり、中学では教室で花火を上げて放校になったりもした。
オスカーの注目作になった『Inside Llewyn Davis(インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌)』(2013)の時のインタビューではこう語った。
「ミュージシャンにもなりたくて、いろいろなオーディションを受け、有名バンドのオープニングアクトもしたが、この役のため改めてギターの猛練習をした。すごく励みになった撮影だったね。ジュリアード音楽院での教育はシェイクスピアの舞台から演技、歌、踊りと全てをカバーするから、俳優としての厚みが付いたと思う。同級生にジェシカ・チャステインがいて、お互いに助け合ったり、ライバルとして競ったりしたものだった。一番好きな映画は『Dog Day Afternoon(狼たちの午後)』(1975)。パチーノのセリフは今もそらで言えるぐらい覚えている」。
デンマーク人の監督、エルヴィラ・リンドと2017年に結婚。2人の子どもがいて、ニューヨークのブルックリンに住居を構え、同じ中南米のチリ出身のペドロ・パスカルとは親友の仲だそう。父親から文学への深い愛情を受け継ぎ、ラテンの文化を尊ぶグローバルなスタンスを維持するオスカー、今はネットドラマ『Beef(BEEF/ビーフ)』で活躍中である。

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。










