(2025年9月号掲載)
心をグッとつかむコメディーの伝道師
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2025年8月16日に63歳になったスティーヴ・カレルはイタリア系で、元の苗字はカロセリ(Caroselli)というのだそうな。
「イタリアのかかとの部分にあるバリという町から祖父はアメリカにやって来て、ジャージーシティーに住み着き、手袋職人として働いて、暇があるとオペラでその他大勢の中で歌っていたそうだ。カロセリという名前は野生の馬という意味だそうだが、カレルよりはるかにいい響きだし、何よりもたくましそうで、ドラマが感じられるよね」。
最近も変わらずドラマに引っ張りだこで、『The Four Seasons(フォー・シーズンズ)』『Mountainhead(マウンテンヘッド)』(共に2025)の2作に出演。
「どちらも友情を描いたドラマだが、僕の業界での友人たちとの関係は非常に濃くて、僕の結婚生活以上に安定して長く続いている。特にアンサンブルの共演はそれぞれの特徴を見せるから、より楽しいエンターテインメントになると思う。良い演技というのは、何と言っても相手の話を聞く時の反応が一番大事だから、その辺りの呼吸がよく分かるはず。浜辺でシャツを脱いで上半身裸になるシーンがあるのだが、その日まで野菜を山のように食べたね。プライバシーで注目されるのは非常に嫌なのだが、役になれば半裸も厭わないのが役者精神というものなのだろう」とコメントしている。ちなみに結婚生活はすでに30年、子どもは2人、奥方も喜劇女優だった。
「コメディーに打ち込んでいるのは、腹を抱えて大笑いするほどいい気分になる時はないから。映画やテレビを見て涙が出るほど笑った時の開放感といったらないよね。笑いは人々にとって癒やしの効果があるし。好きなコメディアンはピーター・セラーズ、バスター・キートン、ハロルド・ロイド、マルクス兄弟とモンティ・パイソンてなところだね。喜劇俳優は得てして寂しい面も大きいと言われるが、僕にもメランコリックな面がある。寂しさを経験しての喜劇こそ、人間の魂にきゅんとアピールするのじゃないかな。平々凡々な中で愉快なハプニングを見せる。それが僕のコメディーセンスだろうと思っている」。
喜劇俳優が悪人を演じると恐ろしくインパクトがあるものだが、彼がオスカー候補になった『Foxcatcher(フォックスキャッチャー)』(2014)での、レスリング選手のパトロンになる非情な大金持ち役をぜひご覧いただきたい。あの肉体派のチャニング・テイタムが主演の映画です。

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。










