ダスティン・ホフマン / Dustin Hoffman

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(2024年11月号掲載)

博識で好奇心に満ちた、役作りの探求者

ダスティン・ホフマンと成田陽子さん

「女性の苦しみが完璧に体感できたね!『Tootsie(トッツィー)』(1982)で女性に変身する役を演じることになり、試しにメークしてもらったのだが、鏡の中の僕は全く美しくない。もっとキレイにしてと頼むと『これがベストですよ』という返事。パーティーでこんな女性を見たら絶対に避けて通る、話しかけられたくない!と思うタイプじゃないかと考えた時、がくぜんとした。女性はこういう反応を常に味わい、我慢しているのだと。僕にとっては“ひらめき”だった。自分の理想と現実との差の悲劇と対面したんだよ」。
 
2024年に87歳のダスティン・ホフマンに初めて会ったのは、2度目のオスカーを受賞した『Rain Man(レインマン)』(1988)の時で、女性の私に同情的な打ち明け話をしてくれたのだ。
 
役作りには異常なほど凝るため、リサーチでは専門家レベルになるほど調べ、その膨大な資料を共演者にも押し付け、モーガン・フリーマンなどは脚本だけで十分、と送り返したそうだ。何に対しても旺盛な好奇心をぶつけ、インタビューでも博識をひけらかすというか、一緒に研究しようじゃないか、という姿勢を貫くのである。

『Hook』の頃のダスティン・ホフマン、成田陽子さん、ジュリア・ロバーツ

『Hook(フック)』(1991)ではフック船長の怪演が光ったダスティン・ホフマン。写真は同映画でティンカーベルを演じたジュリア・ロバーツと共に。

通り一遍の質問など無視して、役で得た知識を延々と話したり、その時の社会事情などの話題に発展したり、突然「少年の頃はピアニストを志していたんだよ!」とピアノの話を始めたり。とびきり頭が良くて、「この役を選んだ理由は?」などと聞かれると退屈でうんざりしてしまうタイプなのだ。弁護士になっても大成功間違いなしの、言葉で相手に勝つ、雄弁にして詭弁の達人とも言えよう。
 
小柄で頭でっかちだが、実に俊敏な動きをするのは、毎日のように続けているテニスのおかげ。いつも真っ黒に日焼けし、テニスコートではかなりの腕前だそうだ。
 
「ハリウッドでは犬の年齢になってしまう。自分の年齢×7だから、すぐに年を取ってしまい使い物にならなくなる。だから、外見を維持する義務があるんだ」という彼のモットーは「毎日が生まれ変わり。今日の僕は昨日の僕とは違う。我々は日々起こるさまざまな現象に、意識しているしていないにかかわらず、時に微妙に、時に極端に、順応、対応して変化を続けているのだから」なのだそう。
 
新作『Megalopolis(メガロポリス)』(2024)では市長のフィクサーという小さな役だがしっかりと存在感を示し、同じく大ベテランのジョン・ヴォイトと共に大絵巻物語の映画に重厚感を添えている。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・カリフォルニア版 2024年11月号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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