(2026年1月号掲載)
唯一無二の存在感!
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数個のオスカー受賞間違いなしと言われる『One Battle After Another(ワン・バトル・アフター・アナザー)』(2025)でハイパーなレオナルド・ディカプリオに対して、正反対な「禅」のトーンで対応するベニチオ・デル・トロの大人の存在感が際立っている。
ベニチオいわく、「『One Battle After Another』は僕が尊敬する監督、PTA(ポール・トーマス・アンダーソン)からのオファーだったし、すでにレオ(ディカプリオ)やショーン(ペン)が出ると聞いていたから脚本も見ずに出演を承諾した。ポールもレオも僕もシネファイル(映画狂)だから、撮影中も熱気が漂っていてね。ドラマの芯にある人間性が焦点で、クレイジーなアクションは画面にエネルギーを加えていると思った。社会風刺であり、政治的な意味合いはあまり濃くないと思っている。レオのエネルギーには圧倒されたね。僕が静の演技をしていると褒められたが、レオみたいに動けないから反対にもっそりしただけ。後半でレオを乗せて山道を運転する危険なシーンはお互いに信頼し合っているからこそやり遂げた。何と言っても最近の革命的な映画だと信じている」。
ベニチオに初めて会ったのは『Excess Baggage(エクセス・バゲッジ/シュガーな気持ち)』(1997)の時。当時大人気だったアリシア・シルバーストーンが制作も担当していて、特別に彼を相手役にリクエストして話題になったのである。ベニチオは当時30歳。ワイルドガイと話題になっていたが、身長190センチのがっしりした体格にちりちりのアフロヘアーで現れてびっくり。
「ここらで僕の軽いイメージを見せるのもいいだろうし、生活費もいるし、暴力を見せなくて、銃を全く使わない映画というのも気に入った。僕は頭が少し弱いように見えるスローなしゃべり方をして全体のリズムを変えてみた。ジャック・ニコルソンに似ていると言われて、偶然だったが彼のファンだったからうれしかったね」。
レーザーディスクを集めて相当なコレクションになっていると自慢するベニチオ。「音楽は60、70年代のロックとジャズが好きだな。ローリング・ストーンズ、カルロス・サンタナ、マイルス・デイヴィス、デューク・エリントンなどなど。楽器で演奏したいが、練習する忍耐力がなく何も弾けないけど、感性を磨くためには絶対になくてはならないのが音楽だと信じている」。
そばにいるだけで安心感が生まれる、頼れる男のベニチオなのである。

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。










