(2024年10月号掲載)
大病から復活して、さらに成熟
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「眉毛だけで演技してしまう!」と言われるエミリア・クラーク。実際、画面に出てくる彼女の顔を見ていると、濃い眉毛が八の字を描いたり、上下左右に動いて強烈な存在感を見せている。
女優になりたいと両親に告げた時、母親に「絶対に眉毛は剃らないように」と約束させられたのだという。イギリスのロンドン生まれだが、祖先にインド人の血が混じっていることによる誇り高き眉毛なのである。
人気テレビドラマシリーズ『Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)』(2011〜2019)で主役のデナーリス・ターガリエンを熱演して人気スターの仲間入りを果たしたエミリアだが、最初のシーズンが終了した直後の2011年に、くも膜下出血を起こして手術を受けることに。さらに2013年には脳出血に襲われ、再度手術を受け、一時は言語障害などの後遺症を患ったものの、リハビリによって克服して、見事に復活したチャンピオンでもある。
「2歳の頃から女優になりたかった。クラスメートたちが医者とか政治家はどう?なんて言っても全然ダメ。ただただ女優を目指していたのよ。だから今、とってもハッピー。仕事が大好きで、撮影に入ると毎日が興奮状態。クリエイティブな人々に囲まれてのプロセスは最高!大好きなのはワンちゃん、ビヨンセ、尊敬する女優はエマ・トンプソンで、彼女の限りない親切心に倣って私も実行している」。
そう話していたのは『Me Before You』(2016)の時。エミリアのちょっと不思議な国のアリスのような魅力の貧乏な娘と、美男子サム・クラフリンが演じるリッチな青年とのロマンスが切なく、美しく、悲しくて、ぜひぜひご覧いただきたい映画です(ちなみに邦題は『世界一キライなあなたに』。なんとも変な邦題!)。
『Last Christmas(ラスト・クリスマス)』(2019)のインタビューでは、「病気の時に家族や友人たちの親切さが、もう例えようのないほど大きくて、生きていくのは自分の勝手などという考えはとても持てない。世の中の苦しさや不平等を耐え、社会運動やフェミニズムなどをサポートし、同情心を失わずに優しく生きていきたい」と柔らかな表情で語り、より成熟したエミリアの心境がのぞけた。
現在企画が9本と、これから超多忙の日が続くようだが、まずは健康優先の生活を、と祈らずにはいられない。

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。










