(2024年6月号掲載)
知的でアクティブ、人柄も温和な本物のレディー
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ジェームズ・キャメロン監督の『Avatar(アバター)』シリーズでは、第1作(2009)でオーガスティン博士を演じたシガニー・ウィーバー(74歳)が、第2作『Avatar: The Way of Water(アバター:ウェイ・オブ・ウォーター)』(2022)では14歳の少女キリ役に挑戦。
「キリは物静かで、植物と動物を愛し、暴力や不正に非常に敏感、銃器などを使えないという平和なキャラクターで、すっかり彼女を好きになってしまったの。役作りのために高校の授業を生徒と一緒に受けて、ティーンエイジャーの声や動作をそれとなく観察したわ。他にもネイビー・シールズの訓練を受け、水中で6分以上も息を止められるくらいにまでなったのよ。年寄りだからと言われないように頑張り抜いたわ」。
今のハリウッドでは珍しい貴族的な顔立ちと、いかにも東部のエスタブリッシュメント出身ならではのスポーティーな長身体型のシガニーは、いつも知的で、相手を思いやる心遣いが感じられる格調高いスターである。
父親は三大ネットワークのひとつNBCの重役、母親は英国の女優と、シガニーの生い立ちはリッチで恵まれたものだった。生まれた時に付けられた名前はスーザン・アレキサンドラ・ウィーバー。だが180センチ超という背の高さには不適当な名前だと感じ、『The Great Gatsby』から引用してシガニーへ改名したというのも、彼女の生い立ちの伸び伸びとした自由さがうかがえる。
名門私立校からスタンフォード大、さらにイェール大の演劇科に進んだ秀才でもあり、並の男性にとっては近づきにくいタイプかもしれない。『The Year of Living Dangerously(危険な年)』(1982)で共演したメル・ギブソンは、シガニーのことをこんな風に話していた。
「ロケの間、毎晩したたかに飲んで、朝よろよろと部屋から出ると、シガニーがホテルのプールで五輪選手みたいな華麗なクロールで水しぶきを上げ、その後すぐさま着替えて馬に乗ってすごい速さで駆けていった。ヨーロッパの貴族みたいにスポーツが生活の一部で、何と言うか身分の違いを目の当たりにしたね」。
とはいえ、この二人は大いに気が合って(身長差をいかに調節したかはともかく)プライベートでも大の親友になったとか。
シガニーには『Aliens(エイリアン2)』(1986)から何度も会っているが、米国正統派の耳に心地よいアクセントといい、本物のレディーの極上の一例と言えよう。

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。










