デミ・ムーア / Demi Moore

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(2025年6月号掲載)

深みのある魅力から目が離せない!

デミ・ムーアと成田陽子さん

ホラー映画『The Substance(サブスタンス)』(2024)では若さを取り戻すために命まで失う危険を冒す中年人気タレントを怪演し、ゴールデングローブ賞をはじめほとんどの女優賞を獲得したものの、オスカーは逸したデミ・ムーア。授賞式ではベテランらしく笑顔を取り繕っていたが、膝に置いた手は真っ白に固まっていた。「今までグラマラスな女優としてもてはやされたけど、今回は演技力で認められてものすごくうれしいし、サポートしてくれた人々へのお礼にもなるし、これが最後のチャンスだと思っている」と語っていただけに、オスカー敗退はとてつもない打撃だったろう。デミは2025年11月に63歳、『Anora(ANORA アノーラ)』でオスカーを2025年に受賞したマイキー・マディソンは26歳。ハリウッドの厳しい現実である。
 
貧しい家庭に生まれ、デミが生まれる前に父親は母の元を去っていた。義理の父親もまともな職に就かず、高校までに40回!も引っ越し。親はアル中で、けんかばかりして、デミが殴られることもしょっちゅう。斜視の手術を2回受けて自信を得たデミは、16歳で高校をやめていろいろな仕事をし、18歳でロック歌手と結婚。19歳の時にテレビの昼メロに出演し、ギャラをほとんどパーティーとコカインに使い、以後3年間その調子だったという。『St. Elmo’s Fire(セント・エルモス・ファイアー)』(1985)に出ることになったものの初日にハイの状態で現れ、監督にクスリをやめなければクビにすると言われ軌道修正。自宅にろくなテーブルセットがなく、フォークとナイフの使い方も知らなかったデミは、その後持ち前の吸収力とガッツでハリウッド・ナンバーワンのスターにまで上った。

『G.I. Jane』の頃のデミ・ムーアと成田陽子さん

強い意志と覚悟で臨み、キャリアの転換点ともなった『G.I.Jane(G.I.ジェーン)』(1997)では、役作りで軍の厳しい訓練に耐え、自ら髪を剃り上げた。

初めて会ったのは『Ghost(ゴースト/ニューヨークの幻)』(1990)の時。きゃしゃな体に濃い眉毛とまつ毛がアクセントの端正な顔、ショートカットの黒髪にしゃがれ声がなんともセクシーで、男性でなくとも思わず見とれてしまう力があった。「ゴーストを信じるかって?もちろん。怖いのは嫌だけど、大好きな歴史上の人や祖先が現れたらうれしいじゃない。生まれたのがニューメキシコ州のロズウェルだから、超現実的な存在に敏感なのよ」などと言ってハハハとあのハスキーボイスで笑っていた。
 
「デミっていう名前は、コーヒーのデミタスじゃないのよ。母が雑誌の広告で見たシャンプーの名前がDemitriaで、響きが素敵じゃん、というわけでデミなの」。こんな天真らんまんな受け答えからデミの真の魅力が感じ取れるといいのだが。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・カリフォルニア版 2025年6月号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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