マーク・ハミル / Mark Hamill

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(2026年9月号掲載)

銀河のヒーローを越えて、もっと自由に

マーク・ハミルと成田陽子さん

2026年9月25日に75歳になるマーク・ハミル。最近は実際の年齢以上の役や悪漢役が多い。『The Life of Chuck(サンキュー、チャック)』(2024)ではピノキオのゼペットじいさんそっくりだし、『The Long Walk(ロングウォーク)』(2025)では死の行進を強いる黒眼鏡にヒゲの鬼シゴキ隊長役である。今からほぼ半世紀前の『Star Wars(スター・ウォーズ)』(1977)で人気沸騰したあのけなげな美少年ルーク・スカイウォーカーの影も形も残っていない。
 
「ファンが集まるイベントで、あまりに細部にこだわるクレイジーな人たちに会っているうちに、『Star Wars』にいつまでもしがみ付いていてはいけないと悟ってね。カメラの前での仕事はやめようと決心した。どう見てもラジオ用の顔だしね。それに僕が幼稚園の時、テレビのディズニー番組で、スーツをパリッと着こなした紳士がマイクの前で、突然ドナルドダックの声を出したんだ。いやあ、驚いたの何のって!あんな紳士がキテレツな声を出して、それが職業だと知ったから。僕も将来ああいう仕事に就きたいなって心底思ったよ」。
 
そうしてハミルはポスト・スカイウォーカーの仕事として声優に専念。時たま舞台にも出演したが、映画はつとに避けていた。「近所の浜辺でのメタルディテクター(砂の中の貴金属を探す人)もやりがいがあるかも、と思ったりね」とも。
 
『Star Wars』に最初に“出勤”した時の思い出をハミルは苦笑しながらこう語った。「僕はすでにテレビなどで結構稼いでいたけど、ギャラを聞いてのけぞった。名優のアレック・ギネスたちは相応の額をもらっていたと思うけど、僕は週給1,000ドル!冗談でしょ、僕はテレビで週に1万ドルもらってるんだよと反論したら、『これはジョージ・ルーカスの作品だ。分をわきまえなさい』と叱られた。他のキャストも同じ目に遭ったらしい。『最もお金がかかった低予算映画』と呼ばれていたからね」。
 
ハミルは2023年ごろからやっと映画に本格復帰し、前述のようにスティーヴン・キング原作の作品に続けて2本出演。「キングの本が大好きで、『The Shawshank Redemption(ショーシャンクの空に)』『Stand by Me(スタンド・バイ・ミー)』などの映画化作品は最高だと思う。明るいプールサイドで読むのではなく、深夜、家人が寝静まってから独りで読むのが一番だね」。
 
ちなみにハミルは海軍の軍人だった父と日本の基地に住んでいたことがあり、『The Long Walk』の撮影時には、理不尽なシゴキを目の当たりにした当時を嫌でも思い出してしまったと話していた。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・カリフォルニア版 2026年9月号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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