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アメリカでの妊娠&出産(1)妊娠したら知っておくこと

Lighthouse編集部

日本で出産経験のある人も、医療制度が違うアメリカでの妊娠・出産となると、不安が募るもの。妊娠中の検査、出産前に準備するものなども、日本とは異なる部分も少なくない。安心して妊娠・出産に臨むには、まずアメリカのシステムを知っておきたい。そこで今回は、アメリカでの出産における心構えについて調べてみた。


「看護師から連絡を受けると、
いつでも病院に駆けつけます」
(ウー医師)

妊娠中のタイムテーブル

 妊娠したらどんな手順で、どんな検査があるのかを知っているだけでも心強い。産婦人科医のヘンリー・ウー医師に、妊娠中の検査の段取りを聞いてみた。
 妊娠は大きく分けて、初期(0週から16週)、中期(17週から35週)、後期(36週から40週)に分けられるが、日本とは数え方が違う。日本では「十月十日」と言い、4週間をひと月とするため臨月は10カ月目となるが、アメリカでは実質9カ月で生まれると数える。
 いずれにしても40週間で生まれることには変わりはないので、週計算する方がわかりやすい。妊娠検査の際に、現在何週目かを教えてくれるので、それを目安に今後の計画を立てよう。
 妊娠27週までは月に1回、28週以降35週までは2週間に1回、それ以降は週に1回のペースで診察を受ける。
 日本では産婦人科に付き添う男性は少ないが、アメリカではカップルで来院する人が多い。一緒に赤ちゃんの心音に耳を傾けたり、超音波で赤ちゃんの映像を見たりできるので、時間が許せばできるだけ、パートナーも同伴したいところだ。


初 診

 妊娠したら、あるいは妊娠したかなと思ったら、1日も早く初診を受けたい。この時、保険カードを持っていくのを忘れずに。初診の内容は日本とほぼ同じで、尿検査、血液検査、問診、内診など。問診では、自分や家族の過去の医療履歴に関する質問がある。日常会話に不自由しない人でも、病気の専門用語はあまり知らないもの。ウー医師のクリニックには日本人スタッフがいるが、日本語を話すスタッフがいないクリニックでは、コンパクト辞書を持参すると役立つ。

●初期(0週から16週)
 初診でも妊娠6週から7週を過ぎていると、超音波で赤ちゃんの状態や出産予定日を詳しくチェックする。超音波とは、日本でエコーと呼ばれるもので、赤ちゃんの発育状態、性別、羊水の状態、胎盤の位置などを確認する。妊娠中、通常計3回ほど行う。
 また子宮頸ガン・淋病・クラミジア検査も行う。特に性病クラミジアは自覚症状がないが、感染していると早産や流産の原因になり、赤ちゃんにも影響が出る。抗生物質で治療できる。
 初期から後期まで、毎回の診察でチェックするのは、体重・血圧、尿、外診(子宮の高さ、大きさを測り、赤ちゃんの発育状態や位置を診断する)で、10週頃からはドップラーという器機で赤ちゃんの心音を聞くようになる。
 それ以外に、専門医やラボで、血液型、貧血、風疹の免疫の有無、梅毒、肝炎などを調べるための血液検査を受ける。ウー医師のクリニックでは、ダウン症・トリソミー(染色体異常)・神経障害を調べる初期スクリーニングを導入している。これは通常、中期に行っていたAFPテスト(後述)や羊水検査の代わりになるもので、血液検査と超音波による検査。妊娠11週と16週の2回にわたって検査を受ける。

●中期(17週から35週)
 16週から20週に希望者のみ、ラボでAFPテストを受けることができる。これは血液検査を行い、脊椎異常・ダウン症・先天性奇形・腹壁の異常などを調べるもの。
 またAFPとほぼ同じ目的で、希望者のみ、羊水検査も受けることができる。羊水検査は通常35歳以上の妊婦にすすめているとのことだが、前述の初期スクリーニングで異状が認められた場合などに受けることができる。
 24週頃に、ラボで糖尿病検査を受ける。これは甘いジュースを飲み、1時間後に血糖値を測って、妊娠性糖尿病にかかっていないかを調べるもの。妊娠中は血糖値が上がりやすい状態になっているので注意が必要だ。高い状態が続くと、赤ちゃんが巨大児になったり、難産になることがあり、産後に糖尿病になる可能性もある。
 この頃には、そろそろマタニティークラスの申し込みを。あまりギリギリまで待っていると、早産でクラスが終了する前に出産することになったり、クラスが満員になっている場合もある。マタニティークラスは、出産予定日の1、2カ月前までに終わるようにスケジュールを立てよう。日本では母親学級とも言われるが、アメリカでは出産にパートナーが立ち会うケースが多く、マタニティークラスもカップル参加を前提にしたものが多い。妊婦の栄養や出産時の呼吸法、沐浴の仕方など、初めてお産を迎える人は勉強になる。
 アメリカでは出産後、日本のように1週間も入院することはなく、病院で沐浴や赤ちゃんの世話の仕方を習う機会も少ないので、新生児の世話をしたことがない人は、ぜひ参加しておきたい。
 またマタニティークラスは、ママ仲間の出会いの場としても有効。同じ年頃の子供を持つことになるので、出産後も友情を育む人も少なくない。

 30週くらいには、出産予定の病院ツアーも申し込んでおこう。たいていの病院は、平日の夜や週末などに分娩産科の無料ツアーを行っている。病院の雰囲気を知り、どんなサービスがあるのかを知る絶好のチャンス。最近は出産の瞬間をカメラやビデオに収める人も多いが、その場合はカメラやビデオの持ち込み許可、立会人の人数なども確認しておこう。
 同時に、病院のプリレジストレーションも済ませておきたい。プリレジストレーションとは、事前に病院の入院手続きの登録をしておくこと。アメリカは外部者に開かれたオープンシステムで、診察はかかりつけのクリニックで受け、入院する時は、クリニックの医師が契約する病院に入院する。入院後はクリニックの医師が、毎日病院に診察に来てくれる。
 予め登録しておくと、入院手続きが簡単で、パートナーも陣痛で苦しむ妊婦にずっと付き添える。プリレジストレーションは、たいてい産科医のオフィスで入手できる。出産予定日の1カ月くらい前に、身分証明書と保険カードを病院に持参して、プリレジストレーションを完了しておくのを忘れずに。
 また小児科医選びも、この頃から始めよう。分業が徹底しているアメリカでは、生まれた赤ちゃんは小児科医が担当になるため、小児科医はすぐに必要になる。知り合いや主治医に紹介してもらうのがベストだろう。できれば出産前に1度会いに行き、体制などについて確認しておこう。

●後期(36週から40週)
 36週頃に、B群溶連菌検査を受ける。これは膣内のバクテリア感染を調べる検査で、バクテリアに感染していると、赤ちゃんが産道で感染する恐れがある。陽性の場合は、出産時に母親に抗生物質を点滴する。
 また早産の場合に備えて、この頃にはベビー用品の準備を終えておこう。ベビーシャワーを希望している人も、この時期にスケジュールして。いざという時に慌てずに済むように、入院時に持参するバッグも、いつでも持って行けるよう早めに用意しておきたい。次ページのコラムを参照して。
 プリレジストレーションをしておけば、かかりつけのクリニックから病院に直接カルテがファックスされるので、いつでも入院が可能だ。看護師が妊婦の状態をチェックして、クリニックの担当医師に直接連絡する。医師は看護師から連絡を受け取ると、いつでも病院に駆けつけてくれるので安心だ。

■取材協力(掲載順)
ヘンリー・ウー医師(Dr. Henry Wu)
520 N. Prospect Ave. Suite 203
Redondo Beach
☎310-318-5509(日本語OK)

(2007年4月16日号掲載)