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マクロビオティック入門

Lighthouse編集部

巷で聞かれる「マクロビオティック(Macrobiotic)」は、雑穀と野菜を中心とした健康に良いとされる食事法のこと。日本では「正食」と言われ、マクロビは日本古来のシンプルな食事法として見直されている。ここアメリカでも東海岸を中心に50〜60年代に導入され、その知名度はじわじわと上昇中、マドンナやトム・クルーズなどセレブも実践しているという。自然環境の調和を視野に入れた思想でもある、そんな奥深いマクロビの世界を紹介しよう。

(2005年10月1日号掲載)


マクロビって何だろう?

 マクロビオティック(以下、マクロビと省略)は、ギリシャ語で「マクロ」が「大きい」、「ビオ(バイオ)」が「生命」、「ティック」が「術・学」、つまり「偉大なる生命」という意味である。

 日本でマクロビを確立したのは明治生まれの桜沢如一氏。その思想は明治の名医・石塚左玄の食事法「食養」をベースに、「宇宙万物は陰陽より成る」という陰陽の法則「無双原理」に基づき、穀物菜食中心の食生活をすることにより、健康で幸福に生きることを目指している。現在、日本では「正食法」としても普及している。

 そしてアメリカでは、桜沢氏の影響を受けた久司道夫氏が1949年に渡米し、マクロビの普及に尽力、78年には妻のアヴェリンさんとマサチューセッツ州にマクロビの考え方や料理法を教えるクシ・インスティテュートを設立した。

 
陰陽のバランスとれた
中庸の食事


 実際にマクロビの食事とはどのようなもので、どのような効果があるのだろうか。大阪にある正食協会の師範科を卒業し、日本でマクロビの料理教室を主宰、現在パサデナに在住の中村知子さんに聞いた。

 「主食・副食の割合を守ることがまず大切です。何を食べるかは、歯の割合で決まるんです。人間の歯はほとんどが臼歯ですので、主食の穀物を全体の3分の2、野菜や海草のおかずを3分の1、動物性のものは食べなくても良いのですが、全体の8分の1としてください」と開口一番。だから、マクロビは穀物を中心にした食事が基本となっているのだ。

 食材については、「『身土不二』と言って土と人間の体は切り離すことができません。四里四方のものを食べると病気にならないとも言われるように、その土地のもの、季節のものを選びます」とのこと。遠いところにあるものは、その土地の人には合わないという考え方だ。農薬や添加物を使わない、オーガニックの食材がふさわしいというのもこの原則から来ている。

 さらに、「『一物全体』と言って全体を食べることも原則です。本来の姿を損なうとバランスが崩れるからです。皮も食べてはじめて、命をいただくことになります」と中村さん。米は脱穀して精白しない玄米で、野菜の皮をむかないというのはもちろんのこと、ゴボウはアクを抜かず、ゆでるとゆで汁に栄養が逃げるため、蒸し煮するそうだ。

 そして、マクロビの考え方で1番ユニークなのが、『陰陽のバランス』を取ること。「食物にはそれぞれ陽性・陰性の性質があり、それらをバランス良く中庸になるように食べることが大切です」。陽性の食べ物は、寒い土地で取れるもの、ゆっくり育つもの、小さく硬い、水分の少ないものとされ、肉類・塩分・野菜ではゴボウやニンジンなどが挙げられる。一方、陰性の食べ物は、暖かい土地で取れるもの、早く育つもの、大きく軟らかい、水分の多いものとされ、砂糖やコーヒー、酒類、野菜ではナスやトマトなどが挙げられる(下の表参照)。

 「陽性は身体を温め、陰性は身体を冷やします。また、陽性の食べ物ばかり食べていると、気が短く怒りっぽくなり、陰性の食べ物が過ぎるとクヨクヨしやすく、疲れやすくなります。ステーキを食べて、コーヒーを飲んでケーキを食べてという陰陽が極端になる食生活は、健康なら楽しめますが、あまり過ぎると身体に負担をかけ、病気になる可能性が高くなります」。なるべく中庸の性質の食物を取るようにすることが身体にとっていいというわけである。


体質を根本から改善し
ガンやアレルギーも克服

 中村さんがマクロビを始めたのは、ご主人が突発性難聴にかかったことがきっかけ。薬以外で病気を治そうと食事療法に行き着き、肉が大好きだったご主人を含め家族全員でマクロビの食事に完全に切り替えたところ、ご主人の耳も回復すると共に、中村さん自身の体質も顕著に変わったのだそうだ。

 「甘いものに目がなくて、インシュリン機能が低下する低血糖症だったんです。いつも冷えやイライラ、頭痛に悩まされ、体型は下半身ぶくれ。それがマクロビで砂糖を一切やめ、ライスシロップやメープルシロップに変えたところ、10キロ以上やせ、頭がすっきりするようになりました」と中村さん。顔のしみが取れ、眉毛が濃くなり、若返ったといううれしい結果も。実際にマクロビを教えている中で、ガンや白血病が治った、喘息やアトピー、痛風が良くなった、不妊症だったのが妊娠したといった効果があったという声も聞かれたという。日本にはマクロビを食事療法として導入している病院も増えているということだ。

 また、食べ物に対する考え方も変わってきた、と中村さん。「もともと懐石料理を教えていたのですが、その頃には『自分が美味しいものを作っている』という傲慢さがありました。でも、人間はどんな野菜も種から作ることはできません。素材の味を生かすことを学ぶことを通して、自然の恵みにより私たちは生かされているんだという感謝の気持ちが湧くようになりました」。

 今の食事は陰陽両極端だと中村さん。この飽食の時代、何を食べるかよりも何を控えるかを考えてほしいという。「病気は身体からのメッセージです。手術や薬で一時的に良くなるかも知れませんが、根本的に体質改善しないと、また同じ病気を呼び寄せてしまいます。幸いここカリフォルニアはオーガニックの野菜が豊富。多少、食材にお金がかかっても病院に入るより安いはず。自分への投資だと思ってください」。そして、中村さんがぜひ教えたいと披露してくれたのがご飯と味噌汁。「日本人はどこに住んでいても基本はご飯と味噌汁です。玄米に味噌汁を補うことで完全な栄養食になります」とのこと。また、副菜とデザートも併せて教えてもらったので、ぜひ試してほしい。


マクロビの4大原則

々鯤菜食
玄米などの穀物と野菜を中心に食べる
⊃氾敝堝
土地柄、季節に合ったものを食べる
0貶全体
皮つき、根つきで丸ごと食べる
け⇒枋艦
身体を冷やす陰、温める陽のバランスを取る